上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 68腎腎臓臓特特異異的的 EECCMM をを有有すするる新新規規腎腎臓臓モモデデルルのの開開発発 腎臓特異的ECMを有する新規腎臓モデルの開発信信州州大大学学 繊繊維維学学部部 応応用用生生物物科科学学科科 根根岸岸研研究究室室 信州大学 繊維学部 応用生物科学科 根岸研究室形成や腎機能発現への腎線維芽細胞や腎臓細胞外マトリックス(ECM)の関与が報告され、腎線維芽細胞や腎臓ECMを有する腎臓モデル開発が求められている。本研究では、成体ブタまたは胎児ブタの脱細胞化腎臓とヒト腎線維芽細胞および糸球体様スフェロイドからなる腎臓モデルの作製方法の確立に取り組んだ。 【【方方法法】】研究用の成体ブタと胎児ブタの腎臓に高静水圧印加、核酸分解酵素溶液洗浄と凍結乾燥を行って脱細胞化ブタ腎臓を作製した。DAPI 染色と DNA 定量による細胞除去評価、組織学的染色と SEM による構造評価および Jones 染色と SDS-PAGE による組成評価を行い、ヒト腎臓 ECM と脱細胞化ブタ腎臓の類似性を比較解析した。また、脱 細胞化ブタ腎臓にヒト腎線維芽細胞を播種し、一定期間培養後に脱細胞化腎臓内の細胞分布を評価した。続いて、ヒト胎児腎臓細胞とヒト血管内皮細胞からなるスフェロイドを脱細胞化ブタ腎臓に播種し、DAPI 染色と SEM 観察で スフェロイドの生着と形態を評価した。 【【結結果果】】脱細胞化処理した成体ブタと胎児ブタの腎臓の DAPI 染色では細胞核が認められず、含有 DNA 量が脱細胞化組織の基準とされる 50 ng/mg 未満であることが確認された(図 A、B、E、F)。また、H&E 染色において脱細胞化 ブタ腎臓に実質部と糸球体のECMが認められ、Jones染色によって糸球体基底膜の存在が明らかになった。SDS-PAGEでは脱細胞化成体ブタ腎臓と脱細胞化胎児ブタ腎臓で同様のバンドパターンが認められ、腎臓を構成する I 型 コラーゲンとエラスチン、基底膜 ECM の IV 型コラーゲンおよび成長因子の含有が明らかになった。ヒト腎線維芽細胞を播種した脱細胞化成体ブタ腎臓の表面付近に接着した細胞が認められたが、内部への細胞浸潤は観察されなかった。一方、脱細胞化胎児ブタ腎臓では内部のヒト腎線維芽細胞の生着が確認された。ヒト糸球体様スフェロイド播種において、脱細胞化成体ブタ腎臓ではスフェロイドの生着が認められず、脱細胞化胎児ブタ腎臓の空隙へのスフェロイドの生着と形状維持が確認された(図 C、D、G、H)。 【【考考察察】】ヒトを含む哺乳類は組織や臓器の構造と組成が類似していることが知られており、本研究で作製した脱細胞化ブタ腎臓もヒト腎臓と同様の ECM を有していることが示された。また、脱細胞化成体ブタ腎臓と比べ、脱細胞化胎児ブタ腎臓はECM間の空隙が大きかったため、播種されたヒト腎線維芽細胞が内部まで浸潤したと考えられる。さらに、脱細胞化組織は原料動物の年齢や組織種により機能が異なることが報告されており、脱細胞化胎児ブタ腎臓が形成段階の腎臓環境を模倣したためヒト糸球体様スフェロイドが生着したと推察される。 【【発発表表】】 1) 2024 年 12 月 バイオマテリアル学会北陸信越ブロック研究発表会、口頭発表 スケールバー:200μm(図 A、B、E、F)、100μm(図 D、H)、50μm(図 C、G) 未処理ブタ腎臓、脱細胞化ブタ腎臓およびスフェロイド播種脱細胞化ブタ腎臓の細胞分布と形態評価 68根根岸岸 淳淳 根岸 淳【【目目的的】】腎臓モデルとして腎臓スフェロイドやオルガノイドが腎機能解析や創薬研究に利用されている。近年、糸球体

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