上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 血流と血管周囲環境が制御する血管新生の生体力学的制御モデル 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 67力力学学環環境境がが血血管管新新生生をを制制御御すするるししくくみみのの解解明明とと医医療療応応用用 力学環境が血管新生を制御するしくみの解明と医療応用宮宮崎崎大大学学 医医学学部部 機機能能制制御御学学講講座座 血血管管動動態態生生化化学学分分野野 宮崎大学 医学部 機能制御学講座 血管動態生化学分野【【目目的的】】血管新生は、既存の血管から新たな血管を増生する生体反応である。個体発生期や出生後における血管形成、維持や修復のみでなく、異常血管が増生されることで様々な病態の形成や進展に関与する。血管新生は、血管内皮細胞と周囲のペリサイトが協働して、血管を伸長させながらその内部に血流が通る管腔構造をつくる。しかし、血管新生における血流の作用はよくわかっていない。研究代表者は、最近、創傷再生時の異所的な血流負荷による異常な血管拡張が生じると、血管新生が抑制されることを見いだした。本研究では、個体発生期の生理的なレベルでの血流負荷の血管新生への作用を明らかにすることを目的とした。その解明により、血管新生を自在に操作する次世代の医療・再生医療の創生に繋がる基盤を提供することを目指した。 【【方方法法】】血管内皮細胞(ヒト臍帯静脈内皮細胞)単独、もしくはペリサイト(ヒト胎盤由来ペリサイト)との共培養により細胞外基質内に 3 次元的な血管新生を誘導した(オンチップモデル)。また、培地の静水圧負荷により、血流圧 負荷を再現した。オンチップ血管新生のタイムラプスイメージングにて、内皮細胞移動、管腔形成・拡張、血管伸長 動態を捉え、3 者の動態を定量解析した。さらに、細胞外基質と血管基底膜の硬さ、血管内腔圧の程度を変化させる ことで 3 者動態の変化を解析した。血管周囲基質の硬化度は、マイクロレオロジー法(PTM)と血管拡張性試験で 確証した。 【【結結果果】】内皮細胞だけでの血管新生においては、血管内腔の形成と拡張と同期して、周辺の内皮細胞の方向性移動と 血管伸長が抑制されることが分かった。この血管新生の抑制は、架橋剤(トランスグルタミナーゼ)で、細胞外基質を硬くしておくことで、内腔の拡張が制限されるとともに回避された。さらに、意図的に内腔圧負荷をかけ内腔を拡張 させると、同様に血管伸長は抑制され、逆に、内腔圧を陰圧側に傾けることでも、血管新生は抑制された。また、 ペリサイトの存在下では、血管内腔の拡張が制限され、内皮細胞の方向性移動と血管伸長が促進されることもわかった。そのしくみとして、ペリサイト-内皮間作用にて、4 型コラーゲンの血管基底膜への沈着が亢進し、血管周囲を硬化 させることで、血流圧による内腔拡張が制限されている生体力学的機序が示された。つまり、ペリサイトが、内腔圧と血管壁伸展という 2 つの血流作用を統合して、効率よく血管新生を進める生体力学的制御モデルが考えられた。 【【発発表表】】 1) 2024 年 7 月 IVBM2024、口頭発表 花田保之、西山功一 2) 2024 年 6 月 第 57 回日本発生生物学会年会、口頭発表 花田保之、西山功一 血血管管内内皮皮 ペペリリササイイトト 西西山山 功功一一 西山 功一67内内皮皮細細胞胞のの移移動動血流心臓ポンプ圧枝枝のの伸伸長長管腔形成内内皮皮細細胞胞のの移移動動ススロローーダダウウンン管腔の過度な拡張圧圧力力内内皮皮細細胞胞移移動動のの促促進進管腔の過度な拡張の抑制血管周囲の硬さの増加Col4による血管基底膜形成内内皮皮細細胞胞単単独独ペペリリササイイトト存存在在下下

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