上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
91/224

上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) DNA バーコードにより明らかになった造血幹細胞の全貌 63DDNNAA ババーーココーードド技技術術をを用用いいたた造造血血幹幹細細胞胞亜亜集集団団のの理理解解 DNAバーコード技術を用いた造血幹細胞亜集団の理解熊熊本本大大学学 国国際際先先端端医医学学研研究究機機構構 熊本大学 国際先端医学研究機構【【目目的的】】造血幹細胞の体外増幅が可能になった今、次の課題は増幅後の品質管理である。造血幹細胞は本質的にヘテロであり、どの亜集団が増幅されたかを見極める必要があるが、現状では移植試験でしか識別できない。本研究では DNAバーコードを用いて分裂・分化パターンを解析し、亜集団間の階層性や関連性を明らかにし、識別マーカーを特定して造血幹細胞全体像の理解を目指す。 【【方方法法】】骨髄から造血幹細胞を採取し、レンチウイルスで DNA バーコード(BFP 標識)を導入する。無血清培地+ サイトカインで 40 時間培養し、ほぼ全ての造血幹細胞を 1 回分裂させる。1 回分裂後の BFP+細胞をセル ソーティングし、2 群に分けて致死量放射線照射したレシピエントマウスへ移植する。同一バーコードを持つ娘細胞 ペアは、2 匹のマウスへ 1:1 の確率で移植される。4 か月後、成熟血液細胞からバーコードを回収し、娘細胞ペアの 分化パターンを解析する。さらに骨髄を二次移植して亜集団の階層性を解析し、同時に骨髄造血幹細胞のシングルセルRNA 解析を行う。これにより自己複製したクローンのバーコードと遺伝子発現パターンが明らかになり、亜集団の 自己複製能(品質)と特徴的遺伝子発現を特定する。本研究により造血幹細胞の分裂パターン、亜集団間の階層性・ 関連性、自己複製能と発現パターンの違いを統合的に解明し、造血幹細胞の全貌理解を目指す。 【【結結果果】】本研究により以下を明らかにした(図)。造血幹細胞の主な分裂様式は骨髄球偏向型‐バランス型、バランス型‐バランス型、リンパ球偏向型‐前駆細胞であった(A)。2 次移植解析から階層性は骨髄球偏向型→バランス型→ リンパ球偏向型と判明した(B)。さらに DNA バーコード既知の造血幹細胞のシングルセル解析で、骨髄球偏向型(Nupr1、Procr、Cd74)、バランス型(Plac8、Cd37、Cd52)、No output 型(Vwf、Clu、Cavin2)の特異的 マーカー候補を同定した。Procr、Cd37、Cd52 はフローサイトメトリーで亜集団分画可能であることを確認した(C)。 【【発発表表】】本助成金での成果発表があれば、以下の例にならい記載する。 1) 2024 年 5 月 第 21 回幹細胞シンポジウム 2) 2024 年 10 月 第 86 回日本血液学会学術集会、口頭発表 田田中中 洋洋介介 田中 洋介63

元のページ  ../index.html#91

このブックを見る