上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 細胞アッセイによる患者由来α-シヌクレインシードの構造解析 55シシヌヌククレレイイノノパパチチーーをを全全身身疾疾患患とと捉捉ええたた病病態態解解明明 シヌクレイノパチーを全身疾患と捉えた病態解明順順天天堂堂大大学学 大大学学院院医医学学研研究究科科 神神経経学学 順天堂大学 大学院医学研究科 神経学【【目目的的】】凝集型α-Synuclein(AS)を免疫沈降で濃縮し、「AS シードが正常 AS を巻き込み構造変換させて、凝集の 連鎖を引き起こし線維化する特性」を利用した Real-Time Quaking-Induced Conversion:RT-QuIC 法を行うことで(IP/RT-QuIC)、パーキンソン病(PD)や多系統萎縮症(MSA)といったα-シヌクレイノパチー患者血清から微量なAS シードの同定に成功した(Okuzumi A, Hatano T et al. NNaatt MMeedd 2023)。さらに、この方法で得られた AS 線維の構造を電子顕微鏡で観察すると、疾患毎に構造が異なることを見いだした。加えて、GFP 融合 A53T 変異型 AS を 安定発現する培養細胞に血清由来 AS シードを導入すると、線維構造と同様に異なる構造の凝集体が形成されることを見出した。AS シードは生物学的な診断に有用であることを示し、さらに病態メカニズムとして、血液を介した伝播が疾患の広がりに重要であることが予測された。この結果より、全身臓器−脳連関が本疾患の病態の中核であると想起 した。そこで本研究課題では、α-シヌクレイノパチーのレジストリを構築し、AS シードの構造解析を血液、剖検脳、全身臓器で解析し、臓器と脳との構造物の多様性、混合病理の解明を目的とする。 【【方方法法】】①α-シヌクレイノパチー患者について、運動症状、非運動症状、頭部 MRI 画像、脳機能画像、血液サンプルを加えたレジストリを構築し、同意を得られた症例について縦断的に追跡を行った。②ビデオ終夜睡眠ポリグラフで 診断をしたレム睡眠行動異常症(RBD)(45 症例:平均年齢 71.4±8.3 歳、男性 28 症例)について IP/RT-QuIC よる解析と得られた構造物を A53T 変異 AS 安定発現 HEK293T 細胞に導入し、凝集体を作製させ構造解析を行う細胞 アッセイを行った。③PD3 症例、MSA3 症例、コントロール 3 症例の剖検脳と全身臓器パラフィン切片から RT-QuICおよび細胞アッセイを行った。④混合病理については 2 症例のレヴィ小体型認知症(DLB)(89 歳の女性と 83 歳の 男性)の老人斑について、FT-GO 法を用いてリン酸化 AS、βアミロイド、リン酸化 Tau で染色を行った。 【【結結果果】】①令和 6 年度までに 1,709 名をレジストリに登録した。このうち、臨床情報と紐づけられた画像データは 683例、血液サンプルは 760 名から提供され、画像データと血液サンプル双方がそろった症例は 534 例であった。②RBDについて、14 症例(34%)が AS シード陽性であった。経時的に追跡した 11 症例について、4 症例は陽性後 PD もしくは DLB を呈した。細胞アッセイでは PD 発症症例と DLB 発症症例では構造が異なることを見出した(図 A)。③DLB 症例の剖検脳パラフィン切片における RT-QuIC と細胞アッセイでは脳幹と帯状回とで凝集体の構造が異なることを見出した。また、MSA では構造が異なっていた(図 B)。全身病理ではフィラメント型の構造であった(図 C)。④FT-GO 法を用いた剖検脳の解析ではリン酸化 AS、アミロイドβ、リン酸化タウの一部が共局在していることを 示した(図 D)。 【【発発表表】】 1) Hatano T. Elucidating Pathological Mechanisms and Developing Biomarkers of Parkinson's Disease. Neurol Clin Neurosci. 2025 in press DOI: 10.1111/ncn3.70013 波波田田野野 琢琢 波田野 琢55
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