上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
77/224

上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 49抗抗癌癌免免疫疫機機能能のの活活性性化化ををききたたすす mmiiRR115500 をを用用いいたた創創薬薬研研究究 抗癌免疫機能の活性化をきたすmiR150を用いた創薬研究横横浜浜市市立立大大学学 医医学学部部 消消化化器器・・腫腫瘍瘍外外科科学学 横浜市立大学 医学部 消化器・腫瘍外科学【【背背景景とと目目的的】】公的データベースの解析により、miR-150 の発現が高い乳癌症例では予後が良好であり、特に T 細胞を中心とした免疫細胞の浸潤が有意に高く免疫活性も上がっている傾向が示された。これらの知見から、乳癌細胞に おける miR-150 の発現が腫瘍微小環境(TME)内へ抗腫瘍免疫細胞を呼び寄せ、更に免疫活性化に寄与している 可能性が示唆された。この仮説を検証するため、in vivo / in vitroによるリバーストランスレーショナルリサーチを行った。 【【結結果果】】まず乳癌細胞株を用いた Transwell アッセイを実施した。下室に miR-150 mimic(過剰発現)、mimic+inhibitor(発現抑制)、無処理のいずれかの処置を行った乳癌細胞を配置し、上室から Jurkat 細胞(不死化 T 細胞株)の遊走を評価した。本アッセイにおいて、MDA-MB231 細胞株および BT549 細胞株いずれにおいても、miR-150 mimic 処理による Jurkat 細胞の有意な遊走促進効果が認められ、miR-150 の過剰発現が Jurkat 細胞の移行を有意に促進 することが確認された(図 A)。これらの in vitro データは、miR-150 の発現が乳癌細胞を介して免疫細胞の TME への浸潤を誘導する可能性を示唆する。次に、miR-150 の腫瘍微小環境への影響をin vivoで検討した。Balb/c マウスに乳癌細胞株 4T1(1×105細胞)を#4 fat pad に同所性に移植し、3 日後、腫瘍径が 5~25 mm3となった時点で、 miR-150 またはコントロールをそれぞれ 0.208 nmol/10μL で局所投与した。その後、腫瘍径および IVIS による 生体イメージング値を経時的に測定したが、両群間において腫瘍増殖能に統計学的有意差は認められなかった。さらに、miR-150 投与後 2 日目に腫瘍を摘出し、FACS 解析を実施した。CD45、CD3、CD4、CD8、CD19 陽性細胞の割合を評価したところ、いずれも有意差は認められなかったが、特に CD3 および CD8 陽性細胞の浸潤割合が miR-150 投与群で高い傾向を示した(図 B)。乳癌は一般に“cold tumor”とされ、免疫細胞の浸潤が乏しく、腫瘍局所からの十分な細胞数の回収が困難であったが、miR-150 の投与により TILs の浸潤割合が変化する可能性が示された。 今後の展望:今後は、免疫チェックポイント阻害剤との併用による治療効果の検証を進めるとともに、現在進行中の ヒト乳癌組織における腫瘍細胞と免疫細胞間での miR-150 発現差の網羅的解析(シングルセル RNA-seq 等)を 通じて、さらなる機序解明を目指す。 【【謝謝辞辞】】本研究の遂行にあたり、貴重なご支援を賜りました上原記念生命科学財団に心より感謝申し上げます。 BT549 細胞株におけるin vitro解析とマウス腫瘍モデルにおけるin vivo免疫細胞評価 押押 正正徳徳 押 正徳49

元のページ  ../index.html#77

このブックを見る