上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 1 細胞解像度手法を組み合わせたマルチオミクス解析 44幹幹細細胞胞をを中中心心ととししたた恒恒常常性性維維持持シシスステテムム構構築築原原理理のの理理解解 幹細胞を中心とした恒常性維持システム構築原理の理解大大阪阪大大学学 大大学学院院生生命命機機能能研研究究科科 幹幹細細胞胞恒恒常常性性シシスステテムム研研究究室室 大阪大学 大学院生命機能研究科 幹細胞恒常性システム研究室は、未解明のままであった。私たちは、これまでに独自の 1 細胞解像度長期ライブイメージングと 1 細胞 RNA-seq 解析により、毛包幹細胞の起源と形成過程を明らかにした。そこで次の課題として、本研究では、毛包幹細胞の維持・機能制御を担うニッチが誘導され、毛包幹細胞を中心とした毛包内の恒常性維持システムが形成されるまでの過程を、 マルチオミクス解析を用いて多角的に解析し理解することを目標とした。 【【方方法法】】毛包発生初期のプレプラコード期(胎齢 11 日)から胎齢 17 日に至る 10 段階の発生ステージを対象に、皮膚・毛包の 1 細胞 RNA-seq データおよび対応する Xenium 空間解析を取得した。両者の統合解析により、細胞組成と 空間配置の経時変化、幹細胞を含む上皮基底細胞と、それに対面する間充織細胞との間の細胞間コミュニケーションを探索した。 【【結結果果】】1 細胞 RNA-seq 解析では、上皮・間充織細胞に加え、色素細胞や血管内皮、免疫細胞など皮膚全体の 構成細胞を高精度に同定した。さらに、毛包発生初期の上皮組織が二次元上皮シート構造から三次元筒状構造へと 形態変化する過程においても十分な時間分解能で遺伝子発現変化を捉えたことが判明した。本データは、二次元シート構造から三次元的な筒状構造へと変化する、多くの器官に共通する普遍的な形態変化のメカニズムに迫る可能性を 有する。さらに、Xenium 空間解析とライブイメージング解析から、長軸方向に並ぶ毛包上皮基底細胞区画が発生過程を通じて維持・伸長していく様子や、この上皮細胞区画に対応する間充織細胞区画が存在し、同時に発展することが 確認された。さらに、1 細胞 RNA-seq 解析と Xenium 空間解析の統合解析から、将来の幹細胞領域とその対面の 間充織区画を同定し、細胞間コミュニケーションを探索したところ、この領域において特徴的なサイトカインや 細胞外マトリックスを同定した。さらに、これらの細胞間コミュニケーションは、胎児期の毛包幹細胞領域の発達に 伴って強化される可能性が示唆された。 44森森田田 梨梨津津子子 森田 梨津子【【目目的的】】皮膚の付属器官である毛包は、周期的に再生を繰り返す特性から、早くから組織幹細胞が特定され、 周囲微小環境(幹細胞ニッチ)による幹細胞の維持・機能制御についての研究が進んだ。一方で、毛包が発生過程 においてどのように形成され、幹細胞とニッチの相互依存的な関係がどのように生み出されるのかといった点について

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