1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 【【背背景景とと目目的的】】再発性の高い急性骨髄性白血病ではゲノムワイドな H3K4me3 の増加が報告されており、H3K4me3 修飾酵素の機能解析が盛んに実施されている。H3K4me3 修飾を担う COMPASS 複合体(古典的 SET1 複合体)は 酵母から哺乳類に至るまで進化的に保存されている。一方で我々は哺乳類の H3K4me3 修飾酵素 SETD1A が 酵素活性非依存的に働くことを明らかとし、非古典的 SET1 複合体が新たな治療標的となることを明らかとしてきた。さらに、公共データベースを用いた解析から、SETD1A と類似した役割を持つ転写制御候補因子として BOD1L を 見出した。本研究では非古典的 SET1 複合体と BOD1L の関係性解明を目指すと同時に、BOD1L が白血病の治療標的となる可能性について検討した。 【【方方法法】】タンパク質分解系(degTAGシステム)を使用し、degTAG-BOD1L 発現白血病細胞株を樹立した。低分子化合物 dTAG-13 を投与し、BOD1L タンパク質の分解誘導後に生じる直接的かつ迅速な変化について解析を実施した。また、転写と相関の深いヒストン修飾や RNA 合成酵素の分布をゲノムワイドに解析した。加えて、BOD1L と SETD1Aが相互作用する際に特異的に結合する因子群を近位依存性標識法により同定し、本複合体の転写制御における役割の 解明を試みた。 【【結結果果】】BOD1L のタンパク質の分解は、白血病細胞の増殖を抑制し、SETD1A 欠損細胞と極めて類似した 遺伝子発現変動を示した。H3K4me3 に変化は認められなかったが、RNA ポリメラーゼの転写開始点への蓄積が認められたことから、SETD1A 欠損時と同様に転写の休止状態が誘導された。また BOD1L 分解時にはクロマチン上のSETD1A が 速やかに減少し、逆に BOD1L の結合を誘導した遺伝子座では SETD1A が誘引されたことから、BOD1Lは SETD1A の上流制御因子であると考えられた。BOD1L と SETD1A にそれぞれ split-TurboID タグを付与し、BOD1L と SETD1A が結合した際にのみ近接するタンパク質群を同定したところ、転写因子 E2F などが有意に濃縮しており、E2F タンパク質の ChIP-seq 解析からも BOD1L/SETD1A 複合体は E2F と共局在していることが明らかとなった。 【【考考察察】】SETD1A 非古典的複合体の制御因子として BOD1L の役割を明らかにした。BOD1L はこれまで DNA 修復機構における役割が報告されていたが、SETD1A の上流制御因子として遺伝子発現制御に必須であることが明らかとなった。機能的な重要性と遺伝子発現制御における特異性から、がんの創薬標的としても有用であると考えられた。 【【発発表表】】 1) Hoshii T, Kikuchi S, Kujirai T, Masuda T, Ito T, Yasuda S, Matsumoto M, Rahmutulla B, Fukuyo M, Murata T, Kurumizaka H, Kaneda A. BOD1L mediates chromatin binding and non-canonical function of H3K4 38ががんんににおおけけるる非非古古典典的的エエピピゲゲノノムム酵酵素素複複合合体体のの機機能能解解明明 がんにおける非古典的エピゲノム酵素複合体の機能解明千千葉葉大大学学 大大学学院院医医学学研研究究院院 分分子子腫腫瘍瘍学学 千葉大学 大学院医学研究院 分子腫瘍学methyltransferase SETD1A. Nucleic Acids Res. 52(16):9463-9480. 2024 BOD1L を介した非古典的 SETD1A 複合体制御:(A)BOD1L 分解誘導後のクロマチン上変化、 (B)近位依存性標識法による BOD1L-SETD1A 複合体に近接する因子群の同定 38星星居居 孝孝之之 星居 孝之
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