1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 26新新規規抗抗菌菌薬薬開開発発にに向向けけたたココレレララ菌菌呼呼吸吸鎖鎖酵酵素素のの構構造造解解析析 新規抗菌薬開発に向けたコレラ菌呼吸鎖酵素の構造解析京京都都工工芸芸繊繊維維大大学学 応応用用生生物物学学系系 構構造造生生物物工工学学研研究究室室 京都工芸繊維大学 応用生物学系 構造生物工学研究室1つに、抗生物質が標的とする細菌の代謝の偏りがある。多くの抗生物質は、①細胞壁の合成、②タンパク質の合成、③DNA の合成の3つの代謝を標的としている。同じ代謝を標的とする抗生物質は化学構造が似ている場合が多く、1つの抗生物質に耐性を持った細菌は類縁の抗生物質に対しても耐性を獲得しやすい。したがって、これまでとは異なる代謝を標的とした抗生物質の探索、開発が急務となっている。 そのような状況の中で、細菌のエネルギー代謝が新たな抗生物質標的として注目されている。エネルギー代謝は あらゆる生物にとって生育の基盤であるため、その阻害剤はすなわち抗生物質の候補となりうる。また、細菌は生育 環境に合わせて独自のエネルギー代謝を進化させてきた。そのため、細菌特有のエネルギー代謝を特異的に阻害する 阻害剤は、ヒトのエネルギー代謝を阻害しにくく、副作用が出にくいと期待される。 コレラ菌は、ヒトの腸管という非常に嫌気的な条件下でエネルギーを獲得するために、酸素のかわりにフマル酸を 最終電子受容体とするフマル酸呼吸を獲得した。フマル酸呼吸の中心的な酵素であるフマル酸還元酵素(Fumarate reductase:FRD)の欠損は、腸内での細菌の生育が阻害されることが分かっている。しかし、FRD の構造や機能は いまだ未知の部分が多い。 本研究では、ビブリオ属細菌の FRD を標的として、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により構造解析をすることを目的とする。得られた構造から FRD の反応機構の理解および新規構成物質の開発に繋げる。 【【方方法法おおよよびび結結果果】】コレラ菌と類縁であるV. alginolyticusに FRD のオペロン(frdA-D)を含む発現系プラスミドを導入し、FRD の発現系を構築した。その際、frdD の C 末端側に His-tag を導入した。形質転換体を用いて、 アラビノースによる発現誘導の検討を行った。その結果、0.2%アラビノース、10%グリセロール存在下で微好気的に24 時間培養することで、安定に FRD が発現することを確認した。FRD を発現させた菌体を、超音波処理で破砕後、界面活性剤を含む緩衝液で可溶化を行った。可溶化には、0.5% Lauryl maltose neopentyl glycol、0.05% Cholesterol Hemisuccinate を用いた。可溶化したサンプルは、Ni-NTA カラムとゲルろ過カラムにより精製を行った。その結果、十分に純度の高いサンプルを得ることができた(図 A)。 精製したサンプルを使って、電子顕微鏡による負染色観察を行った。負染色観察では、精製したタンパク質の均一性や単分散性を検定することができる。精製した FRD は、均一かつ単分散性も高かったため、クライオ電子顕微鏡に よる構造解析に耐えうると判断した。今後、このサンプルを使い、クライオ電子顕微鏡による撮影、解析を行うことでFRD の構造解析を行っていく。また FRD の活性は、酸素が反応系に混在すると測定できないため、嫌気的に測定 できる系を確立のうえ、構造と機能の相関を明らかにしていく。 精製 FRD の SDS-PAGE 像(A)と負染色観察像(B)。右は白四角部分の拡大図。矢頭は、FRD 粒子を示す。 26岸岸川川 淳淳一一 岸川 淳一【【目目的的】】コレラ菌(Vibrio cholerae)による感染症は、いまだ世界中で蔓延しており、毎年多くの人命が失われている。特に、近年は抗生物質が効きにくい多剤耐性のコレラ菌の出現が問題となっている。多剤耐性コレラ菌の出現の理由の
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