上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) irAE モデルマウス 【【背背景景とと目目的的】】免疫チェックポイント阻害剤(Immune checkpoint inhibitor:ICI)はがん治療に革命を起こした。ICIは既存の治療法が無効な患者にも長期寛解を起こしうる。しかし、10%程度で自己免疫様反応(immune-related Adverse Events:irAE)を生じ、治療が継続できない。irAE は、ICI により賦活化した T 細胞が皮膚や内分泌組織などに起こす自己免疫様病変である。本研究では、ICI の重篤な副作用である irAE の病態解明のために、我々が独自に単離した自己反応性 T 細胞を用いて irAE のマウスモデルを作製する。さらに、腫瘍免疫反応を維持しつつ自己免疫様反応(irAE)を抑制する新規治療法開発の基盤を築くため、この irAE モデルを用いて、irAE 病変と腫瘍局所での T細胞の表現型・機能の違いとそれを生み出す周囲の細胞・環境因子を明らかにする。この解析により irAE の原因 T 細胞を特異的に制御可能な標的分子の特定を目指す。 【【方方法法】】SKG マウスは、TCR 下流シグナル分子 ZAP70 に点変異を持つために TCR シグナル強度が減弱している。そのため自己反応性 T 細胞が胸腺での負の選択を逃れ、末梢で関節炎を起こす。我々はこれまでに、SKG マウスから、皮膚炎と関節炎を起こしうる自己反応性 CD4 T 細胞とその T 細胞受容体(TCR)R7-39 を単離した。さらに独自に開発した方法を用いて、その T 細胞の標的自己抗原 RPL23A を同定した(Ito et al, Science 2014)。本研究では、R7-39 TCR のトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、各種がん細胞株を接種して腫瘍を形成後に抗 PD-1 抗体投与により自己免疫性皮膚炎を誘発し、irAEのモデルとする。 【【結結果果】】R7-39TCR の TCRa 鎖遺伝子と TCRb 鎖遺伝子の cDNA を単離し、TCR 発現ベクターにクローニングした。これらの DNA を C57BL/6 マウスの前核期胚に DNA インジェクションし、マウスを作製した。現在マウスを スクリーニングし、変異マウスの有無を確認しているところである。変異マウスが得られれば、Balb/c マウスに 8 回 以上戻し交配を行って、Balb/c 背景のマウスを作製する予定である。 20ママウウススモモデデルル作作製製にによよるる iirrAAEE のの治治療療標標的的同同定定 マウスモデル作製によるirAEの治療標的同定京京都都大大学学 医医生生物物学学研研究究所所 京都大学 医生物学研究所今後は、接種する腫瘍の種類と ICI の種類と量(抗 PD-1 抗体、抗 CTLA-4 抗体、またそのコンビネーション投与)を検討して、irAE の発症に最適な条件を決定する予定である。また、irAE の発症が確認されたのちには、irAE の 有無による、抗腫瘍免疫反応の効果の違いを精査する。また、R7-39T 細胞が腫瘍局所で腫瘍免疫機能を有しているかを精査する。 20伊伊藤藤 能能永永 伊藤 能永

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