上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) プラズマ細胞の運命は誕生直後の KLF2 発現レベルによって決定される 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 19転転写写因因子子 KKLLFF22 にによよるる持持続続的的なな抗抗体体産産生生応応答答制制御御 転写因子KLF2による持続的な抗体産生応答制御大大阪阪大大学学 感感染染症症総総合合教教育育研研究究拠拠点点 感感染染症症・・生生体体防防御御研研究究部部門門 大阪大学 感染症総合教育研究拠点 感染症・生体防御研究部門 生体応答学チーム【【目目的的】】抗体産生細胞(プラズマ細胞)はリンパ組織で誕生した後、生存ニッチである骨髄へ移動し長期生存する。 したがって、プラズマ細胞を効率的に骨髄へリクルートすることが、持続的な抗体応答と感染防御に重要である。 しかしプラズマ細胞の骨髄移動は stochastic に起きるのか?あるいは、選択的な機構によって制御されているのかは 不明であった。本研究では、リンパ組織で誕生したプラズマ細胞が骨髄へ移動する分子機構を明らかにすることを目的とした。 【【方方法法】】脾臓と骨髄に存在する抗原特異的プラズマ細胞の細胞表面分子の発現パターンを網羅的に比較した。転写因子、細胞表面分子を B 細胞特異的にノックアウトし、抗原の免疫によって誘導されるプラズマ細胞が脾臓、血液、骨髄に 存在するかを検討した。 【【結結果果】】脾臓と骨髄の抗原特異的プラズマ細胞の細胞表面分子発現パターンを網羅的に解析した結果、骨髄プラズマ 細胞とは異なり、脾臓プラズマ細胞の一部がインテグリンβ7を発現することを見出した。また、このインテグリンβ7 発現プラズマ細胞が選択的にリンパ組織から血液に流出し、最終的に骨髄に移動することが判明した。この骨髄移動能を持つインテグリンβ7 陽性プラズマ細胞の誘導には転写因子 KLF2 が必要であり、KLF2 欠損プラズマ細胞は リンパ組織から血液へ移動できなかった。KLF2 は G タンパク質共役受容体 S1pr1 の発現を誘導し、これによって プラズマ細胞のリンパ組織から血液への流出が行われることも判明した。また、胚中心 B 細胞特異的 KLF2 欠損 マウスでは、インフルエンザワクチンによって誘導される特異的抗体応答が持続せず、インフルエンザウイルス感染 から防御されないことも明らかとなった。以上より、転写因子 KLF2 依存的にプラズマ細胞が骨髄へ移動することが 抗体応答の持続性と感染防御に重要であることが示された。 【【発発表表】】 1) Ise W, Koike T, Shimada N, Yamamoto H, Tai Y, Shirai T, Kawakami R, Kuwabara M, Kawai C, Shida K, Inoue T, Hojo N, Ichiyama K, Sakaguchi S, Shiroguchi K, Suzuki K, Kurosaki T. KLF2 expression in IgG plasma cells at their induction site regulates the migration program. J Exp Med. 2025 May 5;222(5):e20241019. doi: 10.1084/jem.20241019. Epub 2025 Feb 20. PMID: 39976598 伊伊勢勢 渉渉 伊勢 渉19

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