上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 18mmttDDNNAA をを標標的的ととししたたミミトトココンンドドリリアア機機能能低低下下のの抑抑制制技技術術 mtDNAを標的としたミトコンドリア機能低下の抑制技術大大阪阪大大学学 大大学学院院理理学学研研究究科科 生生物物科科学学専専攻攻 大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻ミトコンドリアは酸素呼吸により ATP を産生する二重膜オルガネラである。ミトコンドリアは細菌の共生に由来 すると考えられており、その名残として内部に独自のゲノム、ミトコンドリア DNA(mtDNA)を保持している。mtDNAは酸素呼吸に必須な呼吸鎖複合体のサブユニットをコードしており、その変異はミトコンドリア病の原因となりうる。HeLa 細胞などの哺乳類細胞では細胞あたり数百コピー以上の mtDNA が存在しており、蛍光顕微鏡下に観察すると 多数の点状の構造体として観察され、この構造は「核様体」と呼ばれている。また生細胞観察を行うと核様体は ミトコンドリア内で活発に動いており、その動きはミトコンドリアの融合と分裂を介した動的な膜構造変化と連携していることを近年の解析から見出している。しかし、細胞内の mtDNA の分布・機能発現がどのように制御されているか、また変異 mtDNA はどのように増殖・分配されていくか、などの mtDNA の動的特性の分子理解はまだ十分に 進められていない。そこで核様体の形態制御機構の基盤理解を進めるため、RNAi スクリーニングを行い関連因子の 同定を進めた。まず、ミトコンドリアに関連する 1,164 個の核ゲノムコードの遺伝子を標的としたカスタム siRNA ライブラリーを構築し、それを用いて新規核様体制御因子の探索を目的とした siRNA スクリーニングを行ったところ、候補因子としてミトコンドリアカルシウムユニポーター MCU を含む様々な遺伝子が同定された。 MCU はミトコンドリア内膜のカルシウム(Ca2+)ユニポーター複合体の主要な形成因子であり、RNAi による MCU発現抑制細胞ではミトコンドリアへの Ca2+の取り込みが大きく低下していることが確認された。この時、核様体の 構造が大きく変化しており、さらに酸素呼吸活性の低下も観察されたことから、MCU は mtDNA の核様体構造形成 及び機能発現に重要な役割を持つとの MCU の新しい機能を見出した。また、MCU 抑制に起因する核様体の形態変化は、Ca2+イオノフォアの添加によって抑制され、分散した通常の核様体構造が回復した。これらの結果から、 ミトコンドリアへの Ca2+取り込みは核様体の制御に重要であることを明確に示すことができた(モデル図を参照)。 現在、ミトコンドリアへの Ca2+取り込みがどのように mtDNA の構造と機能に影響しているのか更なる研究を継続 している。また今回のスクリーニングで同定された関連遺伝子の更なる解析を通じて、mtDNA の新規制御機構を理解し、さらにミトコンドリア活性化手法の構築を目指して研究を進めている。 【【発発表表】】 1) 2024 年 10 月 第 45 回日本薬学会 九州山口支部コロキウム、講演 2) 2024 年 11 月 第 47 回日本分子生物学会 バイオテクノロジーセミナー、講演 3) Kanon H, Ishihara T, Ban-Ishihara R, Ota A, Yasuda T, Ichikawa A, Ueyama R, Baba T, Takeda K, Ogasawara E, Ishihara N. Mitochondria-targeting siRNA screening identifies mitochondrial calcium uniporter as a factor involved in nucleoid morphology. J Biochem. 2025 Feb 10:mvaf008. doi: 10.1093/jb/mvaf008. Online ahead of print. PMID: 39928408 ミトコンドリアカルシウムユニポーター(MCU)による mtDNA 核様体の制御 18石石原原 直直忠忠 石原 直忠

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