1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 16染染色色体体除除去去・・可可視視化化・・顕顕微微操操作作にによよるる染染色色体体操操作作法法のの確確立立 染色体除去・可視化・顕微操作による染色体操作法の確立山山梨梨大大学学 大大学学院院総総合合研研究究部部 生生命命環環境境学学域域 山梨大学 大学院総合研究部 生命環境学域技術を新規に確立することを目指した。 【【方方法法】】染色体の「除去」には CIRSPR-Cas9 を用いて特定の染色体分配を阻害することで狙った染色体の脱落を促すこととした。染色体の「可視化」においては、dCas9 を用いた標的 DNA 配列の蛍光ラベリングを行った。可視化が 可能であることを確認した後は、マイクロマニピュレーターによる染色体操作が可能かを検討した。 【【結結果果】】in vivoでの染色体操作法の確立を目指し、マウス受精卵を用いて実験を行った。特定の染色体を除去する実験を行う上では、常染色体を失わせた場合には胚が致死となることが予想され、実験目的が達成できたかの判定が困難となる。そこで、染色体が失われても生存に影響がない Y 染色体をターゲットとして染色体除去法の確立を行うことと した。さらに、Y 染色体を失うことでマウスの性はオス(XY)からメス(XO)へと変化することから、実験の成否を性によってモニターすることが可能となる。本実験では Y 染色体の染色体分配に必要な染色体領域を CRISPR-Cas9によって切断し、その操作を施した受精卵を偽妊娠マウスに移植した。その結果、ICR マウス系統を用いた場合には、誕生する産仔の 100%がメスであった。このことから Y 染色体の除去が効率よくできたことが示唆された。そのことをより詳細に検証するために、以下の 1.~3.を行った:1.誕生個体の尾部線維芽細胞を用いた H3K27me3 染色に よる不活性化 X 染色体の存在の調査、2.誕生個体から得たゲノム DNA を用いた qPCR による X 染色体コピー数の 調査、3.誕生個体から得たゲノム DNA を用いたゲノムシーケンス。これらの実験から、メス誕生個体のうち、 およそ半分に相当する 46%が XO であることが明らかとなった。このことから、Y 染色体除去による二次的影響で XO胚が致死となりメスばかりになったわけではなく、本来 XY であった胚は XO となり個体として誕生したことが わかった。 次に、染色体の「可視化」にも取り組んだ。染色体の一部を特異的に蛍光標識するために dCas9 を用いた手法を 適用した。これまでに CRISPR-Sirius(Ma et al. Nat Methods 218)のような蛍光タンパク質を利用した標識法が 報告されているが、蛍光強度、すなわちシグナル―ノイズ比の観点からは Alexa のような蛍光色素のほうが優れて いる。そこで本実験では蛍光色素が結合された guide RNA を dCas9 との複合体形成に用いた。また、標的配列には 染色体に特有の繰り返し配列を用いた。その結果、X 染色体の一部を効率よく蛍光標識することができた(図)。 さらに、X 染色体の蛍光スポットが 1 つの場合はオス(XY)であり、2 つの場合はメス(XX)であることが推測 される。そこで、胚移植を行った結果、スポットの観察と個体の性が完全に一致することがわかった。 最後に、染色体をマイクロマニピュレーターにより操作できるかを検討した。M 期の染色体は近接しているために 操作しづらい。そこで、キネシン阻害剤によって monopolar 紡錘体を誘導したところ、染色体が散らばることが わかった。さらに、その条件下では個々の染色体を顕微操作により引き抜くことが可能であることを見出した。 【【考考察察】】以上の研究から、受精卵において染色体を除去するあるいは移入するといったことが可能であることが強く 示唆された。今後、この技術をさらに精度の高いものにするとともに、マウス以外の他の動物へと拡張することで、 医学・薬学・生命科学など多岐にわたる分野での技術応用を見据える。 図.マウス受精卵における X 染色体の可視化(赤)。スケールバー:25μm。 16石石内内 崇崇士士 石内 崇士【【研研究究のの背背景景とと目目的的】】ゲノム編集技術により塩基レベルの操作は可能となったものの、染色体レベルの操作は未だに 困難なままである。そこで本研究では、染色体の「除去」・「可視化」・「顕微操作」を三本柱とする染色体レベルの操作
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