上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) コバルト触媒/光触媒の協働系による重水素医薬骨格の構築 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 13重重水水素素原原子子移移動動反反応応をを駆駆使使すするる重重水水素素化化医医薬薬骨骨格格のの構構築築 重水素原子移動反応を駆使する重水素化医薬骨格の構築京京都都大大学学 大大学学院院理理学学研研究究科科 化化学学専専攻攻 集集合合有有機機分分子子機機能能教教室室 京都大学 大学院理学研究科 化学専攻 集合有機分子機能教室近年、C–H/C–D 結合の結合エネルギーの違いを利用し、代謝抵抗性の向上や薬物相互作用の低減を意図した重水素標識薬(Heavy drug)が多数設計され、注目を集めている。その多くは、多重水素化アルキル基を特定の位置に導入することで酸化的代謝経路を調節し、先述の多様な効果を生み出している。加えてごく最近、ラマンイメージングや 2H MRI などの解析ツールの発展により、多重水素化アルキル基の導入は、蛍光や放射性タグを用いない生体 イメージングにも応用可能であることが明らかとなっている。このような背景のもと、医薬品などの複雑な構造を有する化合物に対し、様々な官能基を足掛かりとし、重水素を複数導入する反応が近年報告され始めている。一方で、そのような官能基が隣接していない、不活性な多重水素化アルキル部位を合成終盤に構築することは依然として困難である。 本課題に対し我々は、Late-stage における不活性多重水素化アルキル部位の新たな構築手法として、重アスコルビン酸を重水素源とした電子不足アルケンの DAT 重水素化反応で得られた知見を基盤に、コバルトデューテリド種 ([CoⅢ]–D)からの重水素原子移動(Deuterium Atom Transfer:DAT)を起点とする不活性アルケンの還元的多重水素化反応の開発を行った(下図)。本手法は、光酸化還元触媒とコバルト触媒の協働触媒系を用い、塩基の有無によりスイッチする二つの反応、すなわちアルケンの H/D 交換反応(Hydrogen Isotope Exchange:HIE)および還元的重水素化を連続的に行うことで達成される。基質適用範囲の検討では、優れた官能基許容性を示し、アミノ酸誘導体や医薬品骨格を有する化合物においても化学選択的に複数の重水素を導入することに成功した[1]。 【【謝謝辞辞】】本研究の遂行にあたり、多大なるご支援を賜りました上原記念生命科学財団に深く感謝申し上げます。 【【発発表表】】 1) Takahashi K, Yamanaka S. Suzuki A, Higashida K, Yoshino T, Matsunaga S. Multiple Dueterium Atom Transfer Perdueteration of Unactivated Alkenes under Base-Assisted Cobalt/Photoredox Dual Catalysis. Angew. Chem. Int. Ed. 2025 Feb 6; 64: e2202500233. PMID: 16904174 DOI: 10.1002/anie.202500233. 松松永永 茂茂樹樹 松永 茂樹13

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