1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 12残残留留性性有有機機フフッッ素素化化合合物物 PPFFAASS はは液液性性免免疫疫をを妨妨げげるるかか?? 残留性有機フッ素化合物PFASは液性免疫を妨げるか?第第一一薬薬科科大大学学 薬薬学学部部 健健康康・・環環境境衛衛生生学学講講座座 第一薬科大学 薬学部 健康・環境衛生学講座中和抗体を得ることが公衆衛生学的に重要である。ワクチン接種後の抗体産生には個人差があり、遺伝的要因や年齢、性別などに加え、栄養状態や生活習慣(喫煙、睡眠)、ストレス等がそれに影響を与える因子として知られている。 そのような環境因子のなかで、残留性有機フッ素化合物(PFAS:per- and polyfluoroalkyl substances、代表的な 物質として PFOA や PFOS)はヒトで観察される程度の血清中濃度でマウスにおいて免疫抑制を引き起こす。 ヨーロッパでの疫学研究でも PFAS の血中濃度が高い幼児は破傷風、ジフテリアのワクチン接種後の抗体価の上昇が抑制されるなど、その影響が懸念される。 【【目目的的】】このような背景から、本研究では血清中に残留・蓄積する PFAS の免疫抑制効果を明らかにするために、血清中の包括的 PFAS 分析を行い、新型コロナウイルスのワクチン接種後の抗体価との関連の検討を行った。 【【方方法法】】本研究は各機関の研究倫理委員会の承認を得て実施された。研究参加者は説明を受けた後に文書による同意を行った。371 名の参加者から血清を採取し、新型コロナウイルスワクチンの接種歴を聴取した。血清試料に含まれるPFAS 濃度をガスクロマトグラフィー質量分析法により定量した。血清試料に含まれる新型コロナウイルスへの中和 抗体価を、Abbott 社の SARS-CoV-2 IgG II Quant による化学発光免疫測定法 CLIA でスパイク蛋白の S1 RDB への抗体を定量した。統計解析には JMP Pro 18 を用いて、記述統計、また回帰分析を行った。 【【結結果果】】371 検体の PFAS 濃度の測定の結果、すべての検体から 1 つ以上の PFAS が検出された。平均 22.0 ng/mL、最大 116 ng/mL、最低 3.2 ng/mL であった。PFAS の種別でみると、PFOS、PFHxS が主要な成分であった。この ように抗体価との関連を検討するのに十分な濃度の高低があった。ついで抗体価の測定を行った結果、平均 5,197 AU/mL、中央値 1,199 AU/mL であった。ワクチン接種歴が明らかな対象者 209 名では抗体価の誘導が見られており、2 回接種で 3,683 AU/mL、3 回接種で 15,000 AU/mL であった。接種回数で参加者の平均年齢については大きな差は見られず 51 から 55 歳であった。接種回数と最後の接種から参加までの期間は 2 回接種者(147 名)で 136 日、3 回 接種者(60 名)で 50 日と差が見られた。総 PFAS 濃度と新型コロナウイルスへの IgG 抗体価の関連は、接種回数 2 回、3 回の対象者それぞれで有意な関連は見られなかった。 年齢、性別、種々の PFAS 濃度と IgG 抗体価との関連を解析したところ、接種歴が明らかでないグループにおいて、PFOA 濃度と負の関連を示した(P=0.048)。ワクチン接種歴が明らかなグループにおいては、年齢は負の関連、接種回数は正の関連、接種後からの期間は負の関連、PFAS のうち、PFNA は正の相関を示し、PFDA が統計学的には有意ではないが負の関連を示した(P=0.07)。さらに新型コロナウイルスへの感染歴がある参加者を除外して解析した ところ、ワクチン接種歴が明らかでないグループにおいて、PFOA 濃度と負の関連を示した(P=0.018)。ワクチン 接種歴が明らかなグループにおいては、年齢は負の関連、接種回数は正の関連、接種後からの期間は負の関連、PFASのうち、PFDA が統計学的には有意な負の関連を示した(P=0.02)。 【【考考察察】】本研究では有機フッ素化合物 PFAS の血中濃度と新型コロナウイルスへの抗体価との関連を評価し、いくつかの PFAS が負の関連を示した。接種歴や感染歴を考慮して解析したところでこれらの関連が見られたことから、PFASのなかでも種類によって、抗体の産生を促進するものと抑制するものがありうることを示唆している。これは PFAS の構造によって、関連する受容体への結合性が異なることがありえる。一方で、これらの PFAS の摂取と関連する要因との交絡が生じている可能性もある。しかしながら、新型コロナウイルスの抗体価と関連する要因は接種回数や最終接種からの日数のほかは顕著な要因は報告されていないことから、PFAS 曝露と関連する交絡要因が積極的に存在するとは考えられない。 PFOA、PFDA は細胞内の核内受容体 PPARαのリガンドであることが報告されており、PPARαは肝臓や心臓などの組織のほか、リンパ球での発現もあり、動物実験での免疫抑制のメカニズムとしても指摘されている。これまでの ジフテリア、破傷風ワクチンと PFAS 曝露の関連のみならず、他のワクチン接種後の免疫を抑制する可能性が示唆 されたことは、PFAS の健康影響として免疫機能は Key target として今後のさらなる検討が必要である。 12藤藤井井 由由希希子子 藤井 由希子【【背背景景】】感染やワクチン接種により液性免疫は誘導される。特に現代では感染を待つことなく、ワクチンの接種により
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