上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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881カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 人工ドロップレットによる細胞機能操作 動動物物細細胞胞のの自自在在操操作作をを実実現現すするる人人工工ドドロロッッププレレッットト技技術術 動物細胞の自在操作を実現する人工ドロップレット技術名名古古屋屋工工業業大大学学 大大学学院院工工学学研研究究科科 共共同同ナナノノメメデディィシシンン科科学学専専攻攻 名古屋工業大学 大学院工学研究科 共同ナノメディシン科学専攻する手法は極めて強力なツールとなる。そのようなツールは、分化、分泌、免疫活性などのさまざまな細胞機能を in vitro(培養細胞レベル)や in vivo(動物個体レベル)でコントロールする基盤技術となり、細胞医薬や再生医療 などのメディカル分野への応用にも直結する。そのような背景のもと、細胞内に発現させた改変型タンパク質の活性を化合物で制御する「化学遺伝学」アプローチがこれまでに開発されてきた。しかし、既存の手法は汎用性に乏しく、 一種類のタンパク質の機能を制御するだけでも非常に多くの試行錯誤を要する。これはひとえに、タンパク質は構造、機能、機能発現機構が多様であり、さまざまなタンパク質の活性制御に適用できる普遍的な原理がこれまで考案されていないことに起因する。さまざまなタンパク質の機能・活性を化合物で制御する簡便で高汎用的な化学遺伝学ツールを開発することができれば、生命科学の大きなブレイクスルーになるものと期待される。 【【目目的的】】本研究では、タンパク質の活性制御のための新しい方法論として、「人工ドロップレット」を用いることを 提案する(図)。細胞内に人工的な“場”を作りだし、その中に標的タンパク質を特異的に取り込むことができれば、 そのタンパク質は周囲から隔離され、不活性状態となる。逆に、タンパク質を人工場から細胞質へ放出すれば、本来の機能を発現する(活性状態になる)。このような物理的な隔離と放出に基づいた原理は、タンパク質の種類や構造を 問わず、さまざまなタンパク質の活性制御に幅広く適用できるものと考えられる。この概念のもと、本研究では、 さまざまなタンパク質を隔離・放出することのできる人工場(人工ドロップレット)技術の開発を目指した。 【【方方法法】】細胞内に人工ドロップレットを構築する戦略として、自己集合することで相分離する(ドロップレットを形成する)人工設計タンパク質の創製を展開した。特に、動物細胞と直交性を持つ人工ドロップレットの創製を目指し、 動物以外の生物種(酵母、バクテリア、ウイルスなど)由来の多量体形成ドメインや、完全人工のde novo多量体形成ペプチドなどを用いることにした。さらに、人工ドロップレットと化学誘導二量化ツールを融合することで、化合物 (化学二量化剤)の添加をトリガーとしたタンパク質隔離・放出システムの開発に取り組んだ。 【【結結果果】】これまでに、計 30 種類以上の異なる自己集合性人工タンパク質を創製し、それらの細胞内でのドロップ レット形成能を評価した。用いるオリゴマー形成ドメインやリンカー長を変えることで、流動性、サイズ・形状、内部メッシュサイズなどの物性の異なる人工ドロップレットを細胞内に作り出すことに成功した。また、化学誘導二量化 ツールと組み合わせることで、標的タンパク質の隔離・放出が可能なシステムの開発も可能であった(論文投稿準備中)。今後は、これまでの成果を基盤として、さまざまなシグナル分子の活性を培養細胞やマウス個体内で操作可能な高汎用的人工ドロップレットプラットフォームへと発展させる。 築築地地 真真也也 築地 真也【【背背景景】】細胞機能の作用機序を解明する上で、細胞内の特定の標的タンパク質の機能や活性を“化合物を用いて”制御

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