上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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221カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 選選択択的的オオーートトフファァジジーー制制御御にによよるる加加齢齢関関連連疾疾患患のの改改善善 選択的オートファジー制御による加齢関連疾患の改善東東北北大大学学 大大学学院院生生命命科科学学研研究究科科 分分子子化化学学生生物物学学専専攻攻 東北大学 大学院生命科学研究科 分子化学生物学専攻を構成する細胞の寿命はそれぞれ異なり、神経細胞など生涯を通じて機能し続ける長寿命細胞では、細胞内の恒常性維持、特に「細胞内清掃」の機構が疾患予防に極めて重要となる。 オートファジーはタンパク質や細胞小器官を分解する主要な機構である。従来、加齢とともにオートファジー機能は低下すると考えられてきたが、近年の研究では組織特異的な変化が示されている。特にミトコンドリア選択的オートファジー(マイトファジー)は加齢に伴い一部の組織では活性が上昇するという報告もあり、これは損傷ミトコンドリアの蓄積に対する防御機構の活性化を反映している可能性がある。 我々はこれまでに、細菌の「グアニル化修飾」が宿主による排除の目印になることを突き止め(Molecular Cell 2013)、この知見をもとに Autophagy-Targeting Chimera(AUTACs)を開発してきた(Molecular Cell 2019; J. Med. Chem. 2023)。AUTACs は「分解タグ」と「標的化リガンド」を組み合わせたキメラ化合物であり、特定の有害物をオートファジー機構に結びつけて選択的な分解を実現する革新的なアプローチである。この技術は、「全般的なオートファジー活性の低下」と「選択的オートファジーの機能的保持」という加齢の複雑な影響を考慮した新しい治療戦略を提供する可能性がある。 【【目目的的】】本研究では、AUTACs を用いて加齢に伴う機能低下や疾患の改善を目指すことを第一の目的とした。特に機能不全ミトコンドリアやタンパク質凝集体など、長寿命細胞に蓄積する有害物の除去による神経変性疾患の改善可能性を検討した。また、選択的オートファジーにおける細胞内相分離の分子機構を解明することを第二の目的とした。 【【方方法法とと結結果果】】  機能不全ミトコンドリアの除去 これまで生細胞観察によりマイトファジーを評価してきたが、スループット等の観点から、化合物最適化の過程で必要な多検体の定量比較ができない。このため固定化された細胞を用いるマイトファジー評価法を構築した。続いて、AUTAC4 やその誘導体を評価して、従来よりもマイトファジー誘導活性に優れた化合物を選抜することができた。得られた化合物を用いて、疾患モデルにおける評価を実施している。  タンパク質凝集体分解のための新規 AUTACs 開発: 凝集体選択的抗体を用いる ELISA 法により多検体の比較定量を可能とした。続いて、神経変性疾患に関連するタンパク質凝集体を標的とする数十種類の新規 AUTACs の設計・合成を行い、分解活性に基づく化合物の選抜を実施した。  相分離現象の分子機構解析: 近年、選択的オートファジーの開始、基質認識などの過程で相分離現象の重要性が指摘されている。このため、AUTAC と液滴形成(相分離)の関係解明を目指して解析を行った。関連タンパク質(p62/sqstm1 等)との相互作用解析を行った。 会実装に向かううえで、基礎研究段階とは異なる手法が要求されるため、本研究実施の意義は大きい。また、AUTACに関係する相分離現象の一端が明らかになったことは、選択的オートファジーの基礎的理解を深める上で重要である。 【【発発表表】】 1) 2024 年 11 月 日本生化学会、招待講演 2) 2024 年 11 月 日本分子生物学会、招待講演 有有本本 博博一一 有本 博一【【研研究究のの背背景景】】加齢は、がん、神経変性疾患、心血管疾患、筋萎縮など、多くの疾患の主要なリスク因子である。組織【【考考察察】】本研究では、加齢関連疾患の予防・治療薬候補の取り組みを進めた。なかでも、多検体の調製・評価法は、社

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