上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 189AAMMLL ににおおけけるる MMLLLL ffuussiioonn とと KKRRAASS mmuuttaanntt のの併併存存のの意意義義 AMLにおけるMLL fusion とKRAS mutantの併存の意義田田附附興興風風会会 医医学学研研究究所所 北北野野病病院院 // 立立命命館館大大学学 薬薬学学部部 腫腫瘍瘍病病態態制制御御学学教教室室 田附興風会 医学研究所 北野病院【【目目的的】】近年の次世代シークエンス技術の進歩により、白血病の発症に関わる多種多様な遺伝子変異が同定された。 しかし、同一患者内で複数同定される遺伝子変異が、実際に白血病を引き起こす機序の理解は十分には進んでいない。本研究では、白血病研究における未解決の学術的問いのなかで、MLL 転座白血病の予後をさらに悪化させる RAS 変異に焦点をあてる。RAS 変異は、様々ながん種で高頻度に見られることから、その病的意義に関してこれまで盛んに研究されてきた。一方、急性白血病の病態における RAS 変異の存在意義については未知の部分が多い。予後不良 白血病である MLL 転座白血病との特異的な共存関係の分子基盤に至っては、全くわかっていない。さらに、白血病 細胞集団がこれまで考えられてきた以上に不均一な集団であることがわかってきた昨今、単一クローン内での RAS 変異の役割を明らかにするだけでは不十分である。本研究の目的は、腫瘍の不均一性とクローン間相互作用の観点も 交えて、個体内において MLL 融合遺伝子と RAS 変異が協調して白血病の予後を増悪させる分子学的基盤を解明し、これら 2 つの最悪のがん遺伝子が共存することの意義を明らかにすることである。 【【方方法法】】MLL 転座白血病細胞株を KRAS 変異陽性白血病細胞株と in vitro で共培養することで、MLL 転座白血病 細胞株が受ける影響を調べることにした。MLL 転座を持つ急性骨髄性白血病細胞株として EOL-1、MOLM13、MV4-11 を選出し、同細胞群に対してレトロウイルスを用いて EGFP を導入した細胞株を樹立した。KRAS 点変異を持つ 急性骨髄性白血病細胞株として PL21、SKM1、NOMO-1 を選出し共培養相手とした。両細胞群を共培養した場合に ついて MLL 転座白血病細胞を単独培養した場合と比較して、MLL 転座白血病細胞における増殖能の差異を cell countや FCM analyzer を用いて評価した。さらに、RNA発現の差異を RNA-seq 解析にて評価した。 【【結結果果】】MLL 転座白血病細胞株 EOL-1 では KRAS 変異陽性白血病細胞株 PL21、SKM1 との共培養にて増殖能の 増加が見られた。一方で MOLM13、MV4-11 では KRAS 変異陽性白血病細胞株との共培養にて増殖能の上乗せ効果は示唆されなかった。また、MLL 転座白血病細胞株を様々な種類の急性骨髄性白血病細胞株と共培養し 72 時間後の 検体にて RNA-seq 解析を行い、単独培養時や KRAS-WT の急性骨髄性白血病細胞株との共培養時と比較して著明に発現が増加した遺伝子群を抽出したところ、顆粒球分化を示唆する遺伝子群、治療抵抗性を示唆する遺伝子群が抽出 された。 MLL 転座細胞株において KRAS 点変異細胞株との共培養時にのみ発現増加する遺伝子群 現在の所属:立命館大学 薬学部 腫瘍病態制御学教室髙髙橋橋 慧慧 髙橋 慧189

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