1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 【【研研究究背背景景・・目目的的】】LUBAC は直鎖状ユビキチン鎖を生成するユビキチンリガーゼ(E3)複合体であり、本活性が NF-κB の活性化や細胞死の制御において極めて重要な役割を果たしている。そのため、LUBAC の制御不全は炎症性疾患をはじめとする様々な疾患発症に関与することが指摘されており、その詳細な制御機構解明が求められている。 最近我々は、炎症性細胞死であるネクロプトーシスの過程で、LUBAC と協働し RIPK1 に複合型ユビキチン鎖を形成する E3 として LAP1(LUBAC-associated protein 1)を同定した。Lap1 欠損マウスは、ネクロプトーシスが病態 形成に関与する潰瘍性大腸炎モデルの増悪を認めたことから、本研究では、LUBAC と LAP1 が創出する複合型 ユビキチン鎖のネクロプトーシス制御における役割を解明し、炎症性腸疾患(IBD)との分子病態連関を見出すことを目的とした。 【【方方法法・・結結果果・・考考察察】】 ① LUBAC/LAP1 によるネクロプトーシス制御機構の解析 186UUbb 修修飾飾系系にによよるる新新規規抗抗炎炎症症機機構構のの IIBBDD 分分子子病病態態連連関関 Ub修飾系による新規抗炎症機構のIBD分子病態連関大大阪阪公公立立大大学学 大大学学院院医医学学研研究究科科 医医化化学学 大阪公立大学 大学院医学研究科 医化学LUBAC 及び LAP1 が標的とする RIPK1 ユビキチン化部位の点変異体(KR 変異体)で再構成したマウス胚性線維芽細胞(KR-MEF)を用いてネクロプトーシス制御への影響を検討した。ネクロプトーシス誘導に伴う RIPK1 の ポリユビキチン鎖形成は野生型と比べ KR 変異体では顕著に減少し、KR-MEF はネクロプトーシスに高感受性を 示した。このことから、LUBAC/LAP1 による RIPK1 の複合型ユビキチン鎖形成はネクロプトーシスの抑制に寄与 していることが示唆された。ネクロプトーシスは活性化した RIPK1 が RIPK3 と結合し、活性化した RIPK3 が MLKLをリン酸化することで実行される。本経路を詳細に解析した結果、RIPK1 の活性化の指標となる Ser166 のリン酸化 レベルに差異は認められなかったものの、続く RIPK3 や MLKL のリン酸化は KR-MEF において顕著に亢進して いることが判明した。さらに Proximity ligation assay から、LUBAC/LAP1 による RIPK1 の複合型ユビキチン鎖 修飾が RIPK3 との結合を阻害し、ネクロプトーシスを抑制している可能性を見出した。 ② Lap1/Ripk3二重欠損マウスの DSS 誘導性潰瘍性大腸炎モデルの解析 野生型・Lap1 欠損・Lap1/Ripk3 二重欠損マウスに自由飲水にて 2.5%のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を 投与し、3 日目に大腸の病理組織学的解析を実施した。Lap1/Ripk3二重欠損マウスは、Lap1欠損マウスで観察された病理スコアの悪化が有意に改善された。また、大腸組織の遺伝子発現解析の結果、Lap1/Ripk3二重欠損マウスでは、Lap1欠損マウスにおいて上昇した炎症性サイトカインの発現が野生型マウスと同程度まで抑制されることが分かった。この結果から、Lap1欠損マウスにおける DSS 誘導性潰瘍性大腸炎モデルの病態形成がネクロプトーシスに依存していることが明らかとなった。また、IBD 患者のパブリックなトランスクリプトームデータを解析した結果、臨床上注目すべきことに、患者群において LAP1 の発現が有意に低下しており、このことが IBD の発症や病態形成に関連する 可能性が示唆された。今後は、本研究において見出された LUBAC/LAP1 による抗炎症ユビキチン鎖修飾の生体内に おける役割を明確に示すことが重要な課題である。 【【発発表表】】 1) 2023 年 5 月 第 69 回生化学会近畿支部例会、一般口頭発表 2) 2023 年 7 月 第 31 回日本 Cell Death 学会学術集会、一般口頭発表(ベストプレゼンテーション賞受賞) 3) 2023 年 8 月 The 3rd Japan and Australia Meeting on Cell Death 2023、ポスター発表(1st Prize Poster Presentation 受賞) 4) 2023 年 12 月 第 46 回日本分子生物学会年会、シンポジウム口頭発表 186清清水水 康康平平 清水 康平
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