上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 図.髄鞘形成が起こらなければ感覚代償は起こらない。 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 185感感覚覚機機能能代代償償ににおおけけるる髄髄鞘鞘のの機機能能解解析析 感覚機能代償における髄鞘の機能解析自自治治医医科科大大学学 医医学学部部 組組織織学学部部門門 自治医科大学 医学部 組織学部門視覚が失われると聴覚や触覚が研ぎ澄まされて視覚を代償する。この様な作用を感覚代償という。我が国には約 30万人の視覚障害者がおり、高齢の障害者では 40%以上が生活のしづらさを感じている。視覚が欠損した場合でも効率的に感覚代償が起これば自立的に生活できるが、どの様なメカニズムで感覚代償が起こるのか分かっていない。我々は先行研究で視覚欠損に伴い髄鞘という神経伝導速度を調整する構造が変容することを発見した。本研究では感覚代償のメカニズムを特に髄鞘に注目して解明する。本研究で感覚代償のメカニズムが明らかになれば効率的に感覚代償を誘導する方法が開発できる。 髄鞘形成細胞であるオリゴデンドロサイトが GFP で標識されるマウス(PDGFRa-CreERT2/Tau-lox-STOP-lox-GFP)を用いて視覚遮断時のオリゴデンドロサイトの数および形態の変化を観察した。またオリゴデンドロサイトの分化を止めることで髄鞘形成が出来なくなるマウス(PDGFRa-CreERT2/Myrf fl/fl)を使用して、感覚代償に伴う神経活動の変化が見られるか検討した。 視覚遮断により視覚関連脳領野のオリゴデンドロサイトの数が減少する一方で、触覚関連領野のオリゴ デンドロサイトは増加した。野生型マウスを幼少期に暗所飼育し触覚に対する神経活動を測定したところ、通常視覚刺激に反応する中脳上丘の領域で神経活動の上昇が見られた(左図)。この現象は成獣期に暗所飼育を行った場合には見られなかった(左図)。髄鞘形成抑制マウスでは、幼少期もしくは成獣期に暗所飼育を行っても、触覚による中脳上丘の神経活動の亢進は見られなかった(右図)。以上のことから、感覚代償には髄鞘形成が必要であることが示された。 【【発発表表】】 1) Battulga B, Osanai Y, Yamazaki R, Shinohara Y, Ohno N. Axonal Selectivity of Myelination by Single Oligodendrocytes Established During Development in Mouse Cerebellar White Matter. Glia. Published online December 17, 2024. doi:10.1002/glia.24660 2) 2023 年 7 月第 64 回日本神経病理学会総会学術研究会/第 66 回日本神経科学会大会 合同大会 シンポジウム 3) 2024 年 12 月 第 112 回日本解剖学会関東支部学術集会 口頭発表 長長内内 康康幸幸 長内 康幸185

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