1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 184機機能能的的凝凝集集体体をを介介ししたた抗抗ウウイイルルスス自自然然免免疫疫応応答答のの解解明明 機能的凝集体を介した抗ウイルス自然免疫応答の解明東東京京科科学学大大学学 総総合合研研究究院院 東京大学 先端科学技術研究センターインフルエンザウイルスやコロナウイルスといったウイルス由来の RNA は細胞質に存在する RNA 受容体センサーである RIG-I 様ヘリカーゼファミリーによって認識される(Rehwinkel and Gack, Nat Rev Immunol, 2020)。 これまでに、RIG-I 様ヘリカーゼとして RIG-I、MDA5、および LGP2 が同定されている。RIG-I、MDA5 は C 末端の RNA ヘリカーゼドメイン、および N 末端の 2 つの CARD ドメインから構成され、RNA ヘリカーゼドメインを 介してウイルス由来の二本鎖 RNA(dsRNA)を認識すると RNA に沿ってフィラメント様の機能的凝集体を形成する(Wu et al., Cell, 2012, Peisley et al., Mol Cell, 2013)。すると RIG-I、MDA5 の CARD ドメインが自己集合して四量体構造を形成し、下流のアダプター分子 MAVS と機能的凝集体を形成する。MAVS は TBK1 のリン酸化、転写因子IRF3 の核移行を介して、I 型インターフェロンの産生を促進し、宿主は抗ウイルス状態を獲得する。さらに近年、 コファクタータンパク質や翻訳後修飾が RIG-I/MDA5 による免疫応答に必須であることが明らかになった(Onomoto et al., Cell Mol Immunol, 2021)。例えば、LGP2はウイルス RNA に結合し、MDA5とヘテロな機能的凝集体を形成することで、MDA5 による免疫応答を促進する(Bruns et al., Mol Cell, 2014)。しかしながら、これらの コファクターを含めた機能的凝集体の機能発現のメカニズムは不明である。本研究提案では、生化学的手法や構造生物学的手法を用いて、コファクタータンパク質や翻訳後修飾も含めた機能的凝集体の機能発現メカニズムの解明を 目指した。 本研究提案では主に LGP2 に着目して研究を行った。まず LGP2 タンパク質と dsRNA を精製し、生化学解析に よって詳細な解析を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 1. LGP2 は dsRNA の末端領域に結合する 2. LGP2 は RNA 結合に伴い ATP を加水分解する活性をもつ 3. LGP2 は ATP 加水分解に伴い dsRNA 上を移動する さらに金沢大学の柴田教授との共同研究により、高速原子間力顕微鏡(高速 AFM)を用いて LGP2:dsRNA 複合体を継時的に観察した。その結果、ATP 非存在下においては、LGP2 が dsRNA の末端に結合し静止している様子が(図1A)、ATP 存在下において、LGP2 が dsRNA 上を移動している様子がそれぞれ観察できた(図 1B)。得られた動画 から、LGP2 が ATP 依存的に dsRNA 上を動くことが示された。これらの結果から、LGP2 はウイルス RNA の dsRNA末端を認識し、その後 dsRNA の中央ステム領域に移動することが明らかとなった。その後の MDA5 の凝集体形成、および抗ウイルス応答に何らかの寄与することを示唆している。 【【発発表表】】 1) 2024 年 6 月 学術変革 A「自己指向性」領域会議、Self vs. non-self RNA discrimination in immune response by disease-associated MDA5 mutant、ポスター 2) 2024 年 12 月 第 53 回日本免疫学会学術集会、Self vs. non-self RNA discrimination in immune response by disease-associated MDA5 mutant、ポスター 図 1 ATP 非存在(A)、および ATP 存在下(B)における高速 AFM を用いた LGP2:dsRNA 複合体の観察 現在の所属:東京科学大学 総合研究院184加加藤藤 一一希希 加藤 一希
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