上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) ALS マウスモデルの腰部リンパ節での Treg の機能不全と脊髄への影響 183神神経経系系組組織織特特異異的的なな制制御御性性 TT 細細胞胞のの誘誘導導にによよるる AALLSS 治治療療 神経系組織特異的な制御性T細胞の誘導によるALS治療九九州州大大学学 生生体体防防御御医医学学研研究究所所 アアレレルルギギーー防防御御学学分分野野 九州大学 生体防御医学研究所 アレルギー防御学分野【【背背景景】】制御性 T 細胞(Treg)は、免疫応答を抑制する機能を有する T 細胞である。筋委縮性側索硬化症(ALS)では Treg の機能不全が知られており、Treg を移入することによって、ALS の進行度を示す Appel ALS scale のスコア上では進行が抑制される(Thonhoff et al. Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2018)。 【【目目的的】】ALS に特異的な Treg の特徴や ALS Treg の誘導・増殖機構を解明することを目的とした。最終的には、Tregの誘導に限らず、ALSの発症や増悪化を遅延させる方法を探索することを目的とした。 【【方方法法】】 家族性 ALS の原因遺伝子である変異 SOD1 トランスジェニックマウスを用いて、経時的な神経症状の解析を行った。また、フローサイトメトリー解析やシングルセル RNA シーケンス解析により、脊髄や所属リンパ節の免疫細胞の解析を行った。 【【結結果果・・考考察察】】病巣部位である脊髄での Treg を増やす研究を試みていたが、予想外に Treg の機能低下を顕著に認めたのが腰髄の所属リンパ節である腰部リンパ節であった。脊髄における Treg の浸潤は野生型と SOD1 変異マウスで差が認められず、脊髄で有意に増加する T 細胞は CD8T 細胞であることが分かった。腰部リンパ節での Treg の機能不全により、CD8T 細胞の活性化を抑えることが出来ず、脊髄への CD8T 細胞浸潤が起こると想定し、腰部リンパ節を除去すると ALS の神経症状の改善が認められた。以上の結果より、腰部リンパ節での Treg の機能不全による免疫応答抑制がかからず、腰部リンパ節での CD8T 細胞の増加と脊髄への浸潤が ALS の増悪化を引き起こす可能性が示唆された。 【【発発表表】】 1) Watanabe M, Matsui A, Awata N, Nagafuchi A, Kawazoe M, Harada Y, Ito M. Differences in the characteristics and functions of brain and spinal cord regulatory T cells. J Neuroinflammation. 2024 Jun 1;21(1):146. PMID: 38824594 DOI: 10.1186/s12974-024-03144-1. 伊伊藤藤 美美菜菜子子 伊藤 美菜子183

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