上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 179アアナナモモレレリリンン支支持持療療法法をを併併用用ししたた進進行行膵膵癌癌のの治治療療戦戦略略 アナモレリン支持療法を併用した進行膵癌の治療戦略兵兵庫庫医医科科大大学学 医医学学部部 消消化化器器外外科科学学講講座座 肝肝胆胆膵膵外外科科 兵庫医科大学 医学部 消化器外科学講座 肝胆膵外科【【目目的的】】本研究は、切除不能膵癌患者の化学療法中に、アナモレリン投与・シンバイオティクス・運動療法の サポーティブケアを長期に継続することで予後が改善することを目的とした。 【【方方法法】】 1)本研究の対象と標準治療・プロトコール治療;本研究は、悪液質を伴う切除不能膵癌症例を対象とし、GEM・nab-PTX 併用療法による化学療法を行い、2 ヶ月毎に CT 画像にて評価し、progression disease(PD)もしくは切除不能因子が消失し conversion surgery になるまで継続する。標準治療群は、化学療法中のサポーティブケアとして アナモレリンを起床時に内服する。プロトコール治療群は、アナモレリン内服に加え、運動療法とシンバイオティクス(MIYA-BM 3 g/日、食物繊維サンファイバーを 18 g/日摂取)を行う。本研究に同意された患者のうち、 プロトコール治療を希望した症例をプロトコール治療群とする。 2)サルコペニア・栄養状態の評価;Asian Working Group on Sarcopenia(AWGS)診断基準を用いてサルコペニアの診断を化学療法 2 コース毎に行い、サポーティブケアによる身体能力の改善・増悪について検討する。 3)腸内細菌叢解析(アンプリコンシーケンス解析);化学療法開始前と化学療法 2 コース毎に、糞便を採取し、DNAを抽出して PCR にて増幅した後、AmpliSeq Library PLUS を用いて標的領域を hybridization し、DNA 断片の配列を Index plate を用いて MiSeq システムでシークエンスし、腸内細菌叢の DNA 量を網羅的に解析する。 4)炎症性サイトカインとホルモンの測定;化学療法開始前と化学療法 2 コース毎に、食欲に関連するホルモン GH、レプチン、グレリン、IGF-1 を測定し、悪液質に関与する炎症性サイトカイン IL-1、IL-6、IL-8、IL-10、TNF-αを 測定することで、支持療法における悪液質の改善効果を評価する。 【【結結果果】】現在まで登録した 15 例(標準治療群 6 例、プロトコール治療群 9 例)のうち、遠隔転移を認める切除不能 膵癌は 2 例、局所進行切除不能膵癌は 13 例であった。15 例のうち 13 例は GEM・nab-PTX 併用療法を 2 コース終了し、PD になった症例は 4 例(31%)で、コントロール群 3 例(60%)、プロトコール治療群 1 例(13%)であった。GEM・nab-PTX 併用療法を 4 コース終了した 9 例のうち、PD になった症例は 4 例(44%)で、コントロール群 1 例(50%)、プロトコール治療群 3 例(43%)であった。GEM・nab-PTX 併用療法を 6 コース終了できた症例は 5 例で、コントロール群 1 例(20%)、プロトコール治療群 4 例(80%)であった。化学療法開始前に比べ、コントロール群 5 例のうち 2 例(40%)、プロトコール治療群 8 例のうち 6 例(75%)に、アナモレリン投薬による体重増加の効果が得られた。また、コントロール群 5 例のうち 2 例(40%)、プロトコール治療群 8 例のうち 5 例(63%)で握力が増加した。Skeletal muscle index(SMI)は、コントロール群 5 例のうち 2 例(40%)、プロトコール治療群 8 例のうち 6 例(63%)に数値の増加を認めた。化学療法開始前と化学療法を 2 コース、4 コース、6 コース終了した時点で糞便を採取し、DNA を抽出して-80 度の冷凍庫に保管した。8 症例の腸内細菌叢を MiSeq システムでシークエンスし、DNA 量を網羅的に解析した。現在、共同研究者の兵庫医科大学病原微生物学講座で、アナモレリン投薬による腸内 細菌叢の変化と、運動療法・シンバイオティクスの腸内細菌叢に与える影響について詳細な解析中である。 【【考考察察】】本研究では化学療法前とアナモレリン投薬による腸内細菌叢を比較し、アナモレリンが腸内細菌に与える影響を明らかにし、運動療法とシンバイオティクスが腸内細菌叢に与える影響を検討する。本研究により、悪液質を伴う 切除不能膵癌に対する新規サポーティブケアの効果が期待できることが分かった。さらなる症例を集積し、新規膵癌 サポーティブケアの有用性を証明する。 廣廣野野 誠誠子子 廣野 誠子179
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