上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
204/224

1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 腫瘍微小環境の再構築による次世代がんオルガノイドの開発 176ママイイククロロ流流体体デデババイイススにによよるるががんん--間間質質相相互互作作用用のの解解析析 マイクロ流体デバイスによるがんー間質相互作用の解析慶慶應應義義塾塾大大学学 薬薬学学部部 薬薬物物治治療療学学講講座座 慶應義塾大学 薬学部 薬物治療学講座疫を制御する免疫細胞などを含む間質細胞が存在している。線維芽細胞は多くの固形腫瘍で豊富に認められており、 がん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblasts:CAF)が固形腫瘍の浸潤・転移や血管新生などを制御することが報告されている。また、腫瘍抗原特異的 T 細胞応答を利用するがん免疫療法として、免疫チェックポイント阻害薬の 開発が進み、標準治療には抵抗性を示す進行がん症例に対しても腫瘍縮小効果を示すことが注目されている。胆道・膵臓がんなどの難治性がんは、現行の標準治療に対して抵抗性を示すことが多いが、がん細胞の薬剤耐性においても間質細胞が重要な役割を果たしていると考えられる。本研究では、慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科の須藤 亮 教授との共同研究により、胆道・膵臓がん患者から樹立したオルガノイドと線維芽細胞や免疫細胞などの間質細胞を マイクロ流体デバイスにより共培養することで、これまでにない全く新しい腫瘍の微小環境を構築することを目的とする。 【【結結果果】】マイクロ流体デバイスを用いて、胆道がんオルガノイドと線維芽細胞である肝星細胞の相互作用を解析できる共培養モデルを確立した。このモデルを用いて、肝星細胞が胆道がんオルガノイドの浸潤を抑制することを明らかに した。さらに、がんオルガノイドと CAF 及び末梢血単核細胞(Peripheral Blood Mononuclear Cell:PBMC)や腫瘍浸潤リンパ球(Tumor Infiltrating Lymphocyte:TIL)などの免疫細胞を共培養することにより、腫瘍微小環境を再構築した(図)。これらの次世代がんオルガノイドを構築することにより、がん細胞と間質細胞の相互作用及びニッチ 因子の解析が可能となり、これまでは困難であった免疫チェックポイント阻害薬をはじめとするがん免疫療法の効果も判定可能になることが期待される。 【【考考察察】】本研究において、胆道・膵臓がんオルガノイドと線維芽細胞、免疫細胞、血管細胞などの間質細胞を異分野先端技術であるマイクロ流体デバイスを用いて共培養することで、in vitroで腫瘍微小環境の再現が可能になると考えている。がんを生体に近い環境で再現し、時間的・空間的解析を行うことで、がん-間質相互作用の理解が深まり、がんの進展に関わる新たな治療標的や、特定の治療薬の有効性を予測するコンパニオン診断のバイオマーカーが同定できる可能性がある。特に、免疫チェックポイント阻害薬については、治療効果が認められる症例が限られており、事前に 患者の体外で治療効果を予測することが出来れば、治療成績の向上や医療費の削減につながることが期待される。 【【発発表表】】 1) Verstegen MMA, Coppes RP, Beghin A, De Coppi P, Gerli MFM, de Graeff N, Pan Q, SSaaiittoo YY, Shi S, Zadpoor AA, van der Laan LJW. Clinical applications of human organoids. Nat Med. 2025 Feb;31(2):409-421. doi: 10.1038/s41591-024-03489-3. Epub 2025 Feb 3. PMID: 39901045. 2) Suzuki S, Matsuzaki J, Muramatsu T, Kanai Y, SSaaiittoo YY. Effect of MCL-1 inhibitor on organoids derived from cholangiocarcinoma patients with IDH1 mutation. American Association for Cancer Research (AACR) Annual Meeting 2024. San Diego, April 2024. 176齋齋藤藤 義義正正 齋藤 義正【【背背景景とと目目的的】】がん(腫瘍)はがん細胞のみで構成されているのではなく、がん細胞の他にも線維芽細胞や、炎症や免次世代がんオルガノイド:間質細胞との相互作用の解析や免疫チェックポイント阻害薬などの薬効評価が可能がんオルガノイドとCAFや免疫細胞との共培養系を確立従来のがんオルガノイド:がん細胞のみの純粋培養

元のページ  ../index.html#204

このブックを見る