上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 175膵膵ββ細細胞胞再再生生をを誘誘導導すするる膵膵島島集集積積型型 mmRRNNAA ナナノノ医医薬薬のの開開発発 膵β細胞再生を誘導する膵島集積型mRNAナノ医薬の開発徳徳島島大大学学 大大学学院院医医歯歯薬薬学学研研究究部部 薬薬物物治治療療学学分分野野 静岡県立大学 薬学部 創剤科学分野【【研研究究のの背背景景・・目目的的】】近年、アジア人に増加し続けるやせ型糖尿病に対し、膵β細胞の増殖・再生作用を示すタンパク質発現 mRNA 医薬の開発へ期待が寄せられている。しかし実用化には、その極めて悪い膵島・膵β細胞への mRNA送達性を向上させる DDS が必須となる。そこで本研究では、膵島・膵β細胞を標的とした薬物送達用担体(DDS)としての脂質ナノ粒子(LNP)の開発を目的として、粒子径、コレステロール、ポリエチレングリコール(PEG)の組成割合を変化させた LNP について膵臓・膵島領域への分布評価から物性・組成の最適化を行った。次に、最適化した 物性・組成をベースに、各種イオン化脂質を配合した mRNA 封入 LNP(mRNA-LNP)を調製し、物性ならびに マウス膵β細胞およびマウスへの mRNA 導入活性について検証した。 【【方方法法】】3 種のリン脂質を主成分とする DiD 標識 LNP を調製し、各 LNP の膵島分布評価に用いた。また、リン脂質の一種である DOPC を主成分とする DiD 標識 LNP(DOPC-LNP)の粒子径(30~60 nm)、chol 含有割合(0~60%)、PEG 含有割合(0~5%)を変化させて調製し、膵島分布への影響を評価した。DOPC-LNP は雄性 C57BL/6J マウスに静脈内投与後、膵臓および膵島への分布について、ex vivo 蛍光イメージングおよび組織切片観察により比較し、 膵島および各組織への分布の比較を行った。有望な脂質組成を基に、Fluc 発現 mRNA-LNP を調製し、膵β細胞へのmRNA 導入活性と、マウスにおける膵臓への mRNA 導入活性について評価した。 【【結結果果・・考考察察】】ex vivo 蛍光イメージングおよび膵臓の凍結薄切切片の蛍光顕微鏡での観察より、3 種のリン脂質の うち、DOPC を主成分とする LNP が膵島への集積性が最も優れていることが示唆された。また、粒子径は 150~200 nm において、膵島領域への滞留性、移行性に優れていた。さらに chol 含有割合は 40%以上で、PEG は 3%以上の 含有割合で膵島領域への移行性に優れていた。次に、膵島領域へ高く分布した DOPC とほとんど分布が 見られなかった DSPC を主成分とする組成にて、mRNA を封入した LNP をそれぞれ調製した結果、いずれの LNP も90%以上の mRNA 封入率ならびに膵島集積性が期待できる 150~200 nm 程度の粒子径を示した。また、DOPC を 主成分とし、chol の割合が大きい組成で調製した mRNA 封入 LNP ほど、膵β細胞に対する mRNA 導入活性は高くなった。さらに、LNP のマウスに対する mRNA 導入活性の結果より、DOPC を主成分とする LNP の方が DSPC を主成分とする LNP と比較し、mRNA 導入活性が高く、DOPC の割合が大きいほど増大した。次に、PEG 脂質としてDMG-PEG およびDSG-PEG によりPEG 修飾した各DOPC-LNP について検討した結果、静脈内投与においてDMG-PEG 修飾 DOPC-LNP は、肝臓と脾臓で高い発現が見られたのに対し、DSG-PEG 修飾 DOPC-LNP はそれらを抑制し膵臓の一部で発現が観察され、DSG-PEG の修飾量の増大に伴い肝臓と脾臓に対する膵臓における発現活性は増大 した。一方、腹腔内投与においてはいずれの PEG 修飾 DOPC-LNP も肝臓、脾臓および膵臓における発現活性は 同程度であった。最後に、膵臓において発現が見られた DOPC-LNP の膵臓内導入領域を観察した結果、腹腔内投与 ではいずれの DOPC-LNP も膵臓表面付近で蛍光が観察され、膵島特異的な分布・発現が見られなかったのに対し、DSG-PEG 修飾 DOPC-LNP 静脈内投与では膵島において外分泌領域よりも高い分布・発現が観察された。以上より、膵島・膵β細胞への mRNA 送達に適する LNP を確立できたと考える。 【【発発表表】】 1) 2023 年 9 月 日本薬物動態学会第 38 回年会 第 23 回シトクロム P450 国際会議 国際合同大会、ポスター発表 2) 2024 年 6 月 18th Liposome Research Days 2024、ポスター発表 3) 2025 年 3 月 日本薬学会第 145 年会、口頭発表 4) Oguma T, Kanazawa T, Kaneko KY, Sato R, Serizawa M, Ooka A, Yamaguchi M, Ishikawa T, Kondo H, Effects of phospholipid type and particle size on lipid nanoparticle distribution in vivo and in pancreatic islets, Journal of Controlled Release. 2024 Sep;373:917-928. Epub 2024 Aug 6. DOI: 10.1016/j.jconrel.2024.07.059. 現在の所属:徳島大学 大学院医歯薬学研究部 薬物治療学分野金金沢沢 貴貴憲憲 金沢 貴憲175
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