上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 図.死細胞を起点とする肝線維化機構 174リリソソソソーームムスストトレレススをを標標的的ととすするる NNAASSHH のの診診断断治治療療法法開開発発 リソソームストレスを標的とするNASHの診断治療法開発名名古古屋屋大大学学 環環境境医医学学研研究究所所 分分子子代代謝謝医医学学分分野野//東東京京医医科科大大学学 生生化化学学分分野野 名古屋大学 環境医学研究所 分子代謝医学分野肝は一般的に予後良好と言われるが、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:non-alcoholic steatohepatitis)は炎症・ 線維化を特徴とし、高い確率で肝硬変・肝細胞癌に進展する重症型として注目されている。我々は、NASH の肝臓に おいて死細胞周囲を取り巻くマクロファージが、他の散在性マクロファージとは異なる遺伝子発現プロファイルを有する、疾患特異的マクロファージ亜集団であることを提唱してきた。これらのマクロファージでは、リソソームストレスの増強が示唆されていることから、リソソーム機能障害の誘導機構の解明および医学応用を目指して検討を行った。 【【方方法法・・結結果果】】NASH モデルマウスの肝臓を電子顕微鏡および偏光顕微鏡で観察したところ、細胞死に陥った肝細胞の残余脂質内部にコレステロール結晶化が認められ、死細胞を取り囲むマクロファージ内部に脂肪滴が多数認められた。このような死細胞を取り囲むマクロファージは CD11c 陽性であることから、NASH の肝臓から CD11c 発現レベルに応じてマクロファージを採取し、ガスクロマトグラフィーにてコレステロール含量を測定した。野生型マウスや NASHの CD11c 陰性マクロファージと比較して、CD11c 陽性マクロファージではコレステロール含量の増加が認められた。 コレステロールを可溶化するβCDと線状高分子を組み合わせ、酸分解性の修飾を行うことによりリソソームへの指向性を付加した超分子βCD ポリロタキサンを、NASH モデルマウスに対して病態発症後に 6 週間持続皮下投与を 行った(30 mg/kg/day)。体重に変化はないものの、肝重量の低下と肝機能改善が認められ、組織学的に線維化が改善した。このとき肝コレステロール含量には変化がなく、CD11c 陽性マクロファージのコレステロール含量の低下と疾患特異的活性化の抑制が認められた。 【【考考察察】】近年、様々な解析技術の発展から、病態におけるマクロファージの多様性に注目が集まっているが、NASH において死細胞貪食に伴うコレステロール誘導性のリソソームストレスがマクロファージの活性化に関与することを 明らかにした。βCDポリロタキサンはマクロファージに作用して抗線維化効果を示したことから、マクロファージにおけるリソソームストレスを制御することが NASH の新規治療戦略となることが示唆された。 【【発発表表】】 1) 2023 年 11 月 日本生化学会、シンポジウム 2) 2024 年 10 月 日本肥満学会、シンポジウム 3) 2024 年 11 月 日本生化学会、シンポジウム 4) Itoh M, Tamura A, Kanai S, Tanaka M, Kanamori Y, Shirakawa I, Ito A, Oka Y, Hidaka I, Takami T, Honda Y, Maeda M, Saito Y, Murata Y, Matozaki T, Nakajima A, Kataoka Y, Ogi T, Ogawa Y, Suganami T. Lysosomal cholesterol overload in macrophages promotes liver fibrosis in a mouse model of NASH. J. Exp. Med. 220: e20220681, 2023. doi: 10.1084/jem.20220681. 現在の所属:東京医科大学 生化学分野174伊伊藤藤 美美智智子子 伊藤 美智子【【目目的的】】メタボリックシンドロームの肝臓における表現型と言われる非アルコール性脂肪性肝疾患の中で、単純性脂肪

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