上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) Graphical Abstract 172脊脊柱柱骨骨化化靱靱帯帯由由来来エエククソソソソーームムにによよるる疾疾患患活活動動性性評評価価 脊柱骨化靱帯由来エクソソームによる疾患活動性評価福福井井大大学学 学学術術研研究究院院 医医学学系系部部門門 整整形形外外科科学学 福井大学 学術研究院 医学系部門 整形外科学ことが再現性低下を招く要因と考えられ、疾患活動性によって発現因子強度が異なる可能性が高いと思われる。本研究では脊柱靭帯骨化症由来培養細胞が分泌するエクソソームに注目し、非骨化靭帯由来エクソソームをコントロールとした共培養実験・プロテオーム解析・比較発現解析を行うことで、骨化進展に寄与する因子の解析を行うことを目的とした。 【【方方法法】】OLF 手術時採取標本を用いて培養細胞を作製した。コントロールには非 OLF 由来培養細胞を用いた。両者を水平共培養システム(NICO-1)で共培養した。骨分化誘導培地で 1、2、3 週間培養後、骨分化を ALP 染色/アッセイおよびアリザリンレッド S 染色、Western blotting(Runx2、Wnt3a)により評価した。また、非 OLF 由来培養細胞に OLF 由来エクソソームを濃度勾配をつけて注入し、骨分化の変化を調査した。次に、OLF 由来培養細胞と非 OLF由来培養細胞からエクソソームを回収し、Q-Exactive HF-X を用いて DIA プロテオーム解析を行い、発現変化のある因子を同定した(相対定量解析)。抽出された候補蛋白に関しては、その発現変化を western blotting にて確認した。 【【結結果果】】水平共培養システムを用いた研究では、0.03μm フィルターを用いて OLF 由来培養細胞と共培養された非OLF 培養細胞と比較し、1.2μm フィルターを用いて共培養された非 OLF 培養細胞では、有意に骨分化が進んでおり、培養後 3 週では OLF 培養細胞と同程度の骨分化が誘導されていた。非 OLF 由来培養細胞に OLF 由来エクソソームを注入して培養した場合、その濃度勾配に応じた骨分化能上昇がみられた。OLF 由来培養細胞と非 OLF 由来培養細胞のエクソソーム相対解析では、前者で 2 倍以上増加している因子が 32 因子、1/2 以下に低下していた因子が 40 因子同定された。①非 OLF 由来と比較して OLF 由来のエクソソームで増加、②骨化程度によって増加、③エクソソーム膜タンパクであるという 3 条件を満たす因子を抽出したところ、COLⅣA1、FMNL3、mTORC2、PIP4K2b が同定された。一方、骨化によって減少している因子としては、FABP5、KRT family、S100A8、SERPINB3、TGM が同定された。 【【考考察察】】本研究結果は、OLF 由来培養細胞が分泌するエクソソームが、骨分化に寄与していることを強く示唆する結果である。本研究で同定された因子は、疾患活動性を規定するバイオマーカーとしての可能性があると考える。同定した上昇 4 因子は共通して PI3K/Akt/mTOR シグナル伝達に関与しており、治療ターゲットとしての可能性があると考える。この経路は特にがん研究領域で注目されており、腫瘍の血管新生や炎症、腫瘍促進プロセスへの関与が指摘されている。がん領域ではすでに上市されている mTOR 阻害薬は、骨化進展抑制薬としての可能性があると考える。 【【発発表表】】 Nakajima H, Johnson WEB, Kamitani M, Watanabe S, Honjoh K, Kubota A, Matsumine A. Proteomic analysis and effects on osteogenic differentiation of exosomes from patients with ossification of the spinal ligament. JBMR Plus. 2025 Feb 2;9(4):ziaf021 172中中嶋嶋 秀秀明明 中嶋 秀明【【背背景景】】後縦靱帯骨化症(OPLL)や黄色靱帯骨化症(OLF)といった脊柱靱帯骨化症は、遺伝的素因を含めた多因子疾患であり、これまで多くの病因解析がなされているが、未だ再現性のある因子は確立されていない。個体差が大きい

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