上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 私達のこれまでの結果 171潰潰瘍瘍性性大大腸腸炎炎のの新新規規自自己己抗抗体体にに対対すするる治治療療薬薬開開発発 潰瘍性大腸炎の新規自己抗体に対する治療薬開発京京都都大大学学 医医学学部部附附属属病病院院 消消化化器器内内科科 京都大学 医学部附属病院 消化器内科【【背背景景とと目目的的】】潰瘍性大腸炎 ulcerative colitis(UC)は原因不明の難病で、自己免疫学的な機序が考えられているが、詳細は不明である。原因不明なため、治療薬は免疫を抑える薬が中心で特異的な治療薬がなく、治療不応性、副作用の点からアンメットメディカルニーズが存在する。このような中、私たちは UC 患者の血中に特異的に存在する機能を 有した抗インテグリンαVβ6 自己抗体を発見した。私たちはこれまでの研究から、下図のように同抗体が UC を 起こしていると考えている。 私たちは抗インテグリンαVβ6 抗体を産生する B 細胞を除去できれば、UC を根治できると考えている。そのために、①まずインテグリンαVβ6 類似体を作製し、②このインテグリンαVβ6 類似体に B 細胞抑制薬を付加し、B 細胞上に発現する抗インテグリンαVβ6 抗体(B cell receptor)を介して、抗インテグリンαVβ6 抗体を産生する B細胞のみを障害する治療薬を創出する(下図)。 【【方方法法とと結結果果】】 ① in silico の結果からフィブロネクチンに結合しなくなるようにインテグリンαVβ6 に一部変異をいれた インテグリンαVβ6 類似体を作製 副作用の点から、生理的な結合相手であるフィブロネクチンに結合しないインテグリンαVβ6 類似体を作る必要がある。UC 患者の抗インテグリンαVβ6 抗体には結合するが、フィブロネクチンには結合しない、インテグリン αVβ6 類似体を作製した。具体的にはインテグリンαVβ6 は 2 量体で、細胞膜を通過する部分で強固に 2 量体が結合しているが、この部位を欠損させることで、フィブロネクチンへの結合はかなり減少するが、患者の抗 インテグリンαVβ6 抗体へは結合が落ちないことがわかったため、これを使用することとした。 ② インテグリンαVβ6 類似体に B 細胞を障害する治療薬を開発 ①で作製した類似体に細胞障害試薬(知財の関係で詳細は割愛)を付加した治療薬候補を作製した。in vitroの系で効果を示すことが分かり、③へ進んだ。 ③ 候補薬を動物モデルで検証 ②で作製した治療薬候補を、インテグリンαVβ6 を免疫して誘導した UC 動物モデル(既に作製済み)に投与し、UC の活動性を低下させるか検証した。②の候補治療薬がマウスに投与するとすぐに消失してしまうことが分かり、②の安定性が悪いと判断した。 【【考考察察】】治療薬候補のin vitroでの非臨床 POC は取得できたが、in vivoでの安定が悪いことがわかり今後改良をしていきたい。 塩塩川川 雅雅広広 塩川 雅広171上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025)
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