上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 本研究の概要 170RRAASSooppaatthhiieess のの新新ししいい疾疾患患メメカカニニズズムムのの解解明明 RASopathiesの新しい疾患メカニズムの解明東東北北大大学学 大大学学院院医医学学系系研研究究科科 公公衆衆衛衛生生学学専専攻攻 遺遺伝伝医医療療学学分分野野 東北大学 大学院医学系研究科 公衆衛生学専攻 情報健康医学講座RASopathies は、RAS/MAPK シグナル伝達経路の分子の生殖細胞系列変異をヘテロ接合体に持つ希少遺伝性難病の総称である。特異的顔貌・先天性心疾患・低身長・精神遅滞・易発がん性などを示す常染色体顕性/潜性遺伝性疾患であり、ヌーナン症候群・コステロ症候群、cardio-facio-cutaneous(CFC)症候群などが含まれる。2015 年に、LZTR1 (Leucine-zipper-like transcriptional regulator 1)が常染色体顕性遺伝(優性遺伝)あるいは、常染色体潜性遺伝 (劣性遺伝)形式をとるヌーナン症候群の新規原因遺伝子として報告された。LZTR1 は BTB-KELCH タンパク質であり、CUL3 型ユビキチン E3 リガーゼの基質アダプターである。我々は、LZTR1 の機能解析を行い、LZTR1 が RASの下流分子である RAF-PPP1CB と複合体を作ること、さらに LZTR1 が RAS のポリユビキチン化と分解に関与することを報告した(Umeki I et al. Hum Genet,2019, Abe T et al. Cell Death Differ.,2020)。海外のグループからは LZTR1が RAS のモノユビキチン化と細胞の局在に関わっていることが報告された。しかしながら、RAS subfamily のうち、どの RAS が LZTR1 の基質となるのか、ユビキチン化機構とその下流への影響、RAS の量的増減が下流のシグナルや細胞増殖に与える影響については未だ明らかではない。さらにヌーナン症候群で同定された LZTR1 バリアントを持つモデル生物は報告されておらず、機能的な意義は不明である。本研究では培養細胞を用いてヌーナン症候群で同定 された LZTR1 バリアントの機能解析を行い、LZTR1 の顕性遺伝(優性遺伝)バリアントを持つモデル生物の解析を行った。 ヌーナン症候群患者の解析を行い、LZTR1 顕性バリアントである R412C 変異や G248R 変異を同定した。LZTR1の顕性遺伝バリアントについて発現コンストラクトを作製し 293 細胞に導入したところ、内在性の RAS subfamily、特に RIT1、MRAS などの増加がみられた。顕性バリアントの下流シグナルへの影響を見るために、培養細胞にて ELK転写活性を測定したところ、WT では活性が抑えられたが、顕性遺伝バリアントではその抑制作用がなく、野生型に 比べて機能が喪失していることが明らかになった。LZTR1 バリアントを持つマウスを作製したところ、変異マウスは8 週において野生型に比べて低身長、低体重であり、心臓体重比は有意に増加しており、ヌーナン症候群の表現型を 再現した。これらの結果より、LZTR1 顕性遺伝バリアントが変異をヘテロ接合体に発現することにより、先天異常症と同等の表現型を引き起こすことが明らかになった。 【【発発表表】】 1) 2023 年 3 月 4‐7 日 Yoko Aoki Genotype-based management for Noonan syndrome 11th International Meeting of Pediatric Endocrinology New Perspectives 1March 5, 2023 1015-10:45 Buenos Aires (online) 2) 2023 年 10 月 5‐11 日 Yoko Aoki, Taiki abe, Tetsuya Niihori. Recent advances in RASopathies. Human Genetics Asia 2023 Symposium 5 11-14, October, 2023 Tokyo 3) Abe T, Morisaki K, Niihori T, Terao M, Takada S, Aoki Y. Dysregulation of RAS proteostasis by autosomal-dominant LZTR1 mutation induces Noonan syndrome-like phenotypes in mice. JCI Insight. 22;9(22):e182382、2024. doi: 10.1172/jci.insight.182382. 現在の所属:東北大学 大学院医学系研究科 公衆衛生学専攻 遺伝医療学分野170青青木木 洋洋子子 青木 洋子

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