上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 161機機械械学学習習タタススククをを用用いいたた脳脳ココネネククトトーームムのの機機能能解解析析 機械学習タスクを用いた脳コネクトームの機能解析広広島島大大学学 情情報報科科学学部部 デデーータタ解解析析・・モモデデリリンンググ研研究究室室 広島大学 情報科学部 データ解析・モデリング研究室神経科学・ニューロイメージング分野における脳計測データ取得技術の進歩、ならびにデータ共有のための大規模な公開データベース整備の進展により、個々の脳領域をノードとして領域間の構造的結合をエッジとする脳コネクトームのネットワークデータが比較的容易に得られるようになった。従来の研究では、ネットワーク科学分野のグラフ理論的手法が脳コネクトームに適用され、そのネットワーク構造に内在する種々の機能的性質が間接的に示されてきた。その一方、脳コネクトーム内のネットワーク構造が、ヒトや非ヒト霊長類が実際に解いているさまざまなタスクのうち、 どのタスクを解くことに有効で、具体的にどの機能の実現に寄与しているのかに関しては、これまで確かな結論は 得られていない。そこで本研究では、以上の問いにアプローチするため、人工知能分野の研究で取り扱われている人工ニューラルネットワークのモデリング手法や機械学習タスクを用いて、脳コネクトーム内のネットワーク構造が持つ 機能を、より直接的に明らかにすることを目指した。具体的には、リザバー計算モデルと呼ばれる制限された再帰型 ニューラルネットワークに着目し、本モデルの中間層(リザバー層)の結合重みの絶対値(正負はランダム)を脳 コネクトームの構造的結合重みに基づいて決定した場合(図 A)とこれをランダムに並び替えた場合の間で機械学習 タスクの一つである記憶容量タスクへの適用時の性能を比較することによって、タスクを解く際の脳コネクトームの 果たす機能的役割を検証した。その結果、脳コネクトームの構造的結合重みに基づいてリザバー層結合重みの絶対値を定めることによって、リザバー層結合重み行列のスペクトル半径が 1 を越えたときの記憶容量性能低下の度合いが、 ランダムに定めたときよりも低減することが示された(図 B)。このことは、脳コネクトーム内のネットワーク構造の存在によって、結合重みの全体的なスケールの変化に対してより頑健にタスクを解くことが可能となることを示唆している。本研究を通して、脳コネクトーム内のネットワーク構造がタスクを解く際において果たす機能的性質の一端が 明らかとなった。 【【発発表表】】(抜粋) 1) 2024 年 5 月 人工知能学会全国大会(第 38 回)、ポスター発表 2) Nishimura R, Fukushima M, Comparing connectivity-to-reservoir conversion methods for connectome-based reservoir computing. In: Proc. International Joint Conference on Neural Networks (IJCNN 2024), 2024 June 30-July 5; 8 pages. Epub 2024 Sept 9. DOI: 10.1109/IJCNN60899.2024.10650803 脳コネクトームに基づくリザバー計算の記憶容量タスクへの適用(A)とランダム設定との間の性能比較(B) 福福嶋嶋 誠誠 福嶋 誠161
元のページ ../index.html#189