上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 160薬薬剤剤耐耐性性菌菌のの出出現現機機構構をを代代謝謝情情報報工工学学かからら読読みみ解解くく 薬剤耐性菌の出現機構を代謝情報工学から読み解く大大阪阪大大学学 大大学学院院歯歯学学研研究究科科 大阪大学 大学院歯学研究科な病原レンサ球菌であり、米 CDC もその薬剤耐性株を脅威として警告している。近年、栄養枯渇環境下での肺炎球菌が複数の抗菌薬に対して高い耐性を示すことや、代謝酵素やトランスポーターの変異が耐性化に関与する可能性が報告されている。そこで本研究では、モジュロン(複数の転写制御因子や環境要因による遺伝子発現制御の結果、ともに 挙動する遺伝子群)同定法や代謝シミュレーション(GEM)を用い、病原レンサ球菌の薬剤耐性化機構の解明を 試みた。 【【方方法法とと結結果果】】公共データベースから肺炎球菌の RNA-seq データを収集し、独立成分分析により 47 個のモジュロン(複数の転写制御因子や環境要因による遺伝子発現制御の結果、ともに挙動する遺伝子群)を同定した。得られた 47個のモジュロン情報と、データベースのレギュロン情報または過去のトランスクリプトーム解析で報告されている レギュロン情報とを照合し、モジュロンの制御に寄与する転写制御因子を統計学的に算出した。興味深いことに、脂質の合成遺伝子群と pneumolysin をコードする遺伝子がともに挙動することを示すモジュロンや、糖鎖の取り込み および利用とバクテリオシンが連動することを示唆するモジュロンが確認された。 ゲノム情報を基にPC 上で構築された化膿レンサ球菌 血清型M1 型のGEM を入手(必須遺伝子の予測精度が73.6%)し、Tn-Seq により同定した必須遺伝子情報および培養実験にて同定した利用可能な栄養素の情報を用い、より精度の高い GEM(iYH543)を開発した。iYH543は、必須遺伝子の予測精度 92.6%、アミノ酸栄養要求性の予測精度 95%を示した。非侵襲性疾患に関連する血清型に比較して、iYH543 に特異的に含まれる情報を探索したところ、 シクロデキストリンの代謝関連遺伝子群が検出された。この代謝遺伝子群は、低栄養環境で溶血毒素ストレプトリジン2) 広瀬雄二郎,田渕敏生,池田恵莉,大野誠之,山口雅也,川端重忠.トランスクリプトーム解析データを基にした肺炎球菌のモジュロンの同定. 第 97 回日本細菌学会総会 2024 年 8 月 8 日 姫路 ポスター 発表 3) 広瀬雄二郎,山口雅也,川端重忠.血清型 M1 型 化膿レンサ球菌のゲノムスケール代謝モデルの開発とその有用性の検討. 第 98 回日本感染症学会総会 2024 年 6 月 27 日 神戸 口頭発表 4) Hirose Y, Zielinski DC, Poudel S, Rychel K, Baker JL, Toya Y, Yamaguchi M, Heinken A, Thiele I, Kawabata S, Palsson BO, Nizet V. A genome-scale metabolic model of a globally disseminated hyperinvasive M1 strain of Streptococcus pyogenes. mmSSyysstteemmss.. 2024 Sep 17;9(9):e0073624. Epub 2024 Aug 19. PMID: 39158303. DOI: 10.1128/msystems.00736-24 160広広瀬瀬 雄雄二二郎郎 広瀬 雄二郎【【背背景景とと目目的的】】薬剤耐性菌による死者数が世界的に増加しており、2050 年には年間 1,000 万人に達するとの予測が ある。日本でも年間 8,000 人以上が耐性菌感染で死亡しており、新規抗菌薬の開発が急務である。しかし、抗菌薬の 開発は採算が取りづらく、基礎研究も停滞している。化膿レンサ球菌や肺炎球菌は、重篤な感染症を引き起こす代表的O の発現に寄与していた。 【【考考察察】】肺炎球菌のモジュロン解析により、これまで知られていなかった遺伝子発現ネットワークの存在が明らかと なった。また、高精度な GEM「iYH543」は、化膿レンサ球菌の代謝経路と毒性発現の関係を解明する有力なツールとなりうる。これらの知見は、薬剤耐性化病原レンサ球菌に対する新規治療標的の探索に貢献することが期待される。 【【発発表表】】 1) 広瀬雄二郎,田渕敏生,池田恵莉,大野誠之,山口雅也,川端重忠.Streptococcus pneumoniae の モジュロン同定と RNA-seq 解析への応用 第 66 回歯科基礎医学会学術大会 2024 年 11 月 3 日 長崎 ポスター発表

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