上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 141膀膀胱胱癌癌放放射射線線化化学学療療法法耐耐性性克克服服のの治治療療戦戦略略開開発発 膀胱癌放射線化学療法耐性克服の治療戦略開発大大阪阪医医科科薬薬科科大大学学 医医学学部部 泌泌尿尿生生殖殖・・発発達達医医学学講講座座 泌泌尿尿器器科科学学教教室室 大阪医科薬科大学 医学部 泌尿生殖・発達医学講座 泌尿器科学教室【【背背景景とと目目的的】】筋層浸潤性膀胱癌に対する治療は通常膀胱全摘除術が施行される。膀胱全摘除術後の患者 QOL 低下は著しく、膀胱温存療法の需要は高まっているものの、いまだその再発率は高く、現在適応は限定的であることから、患者層別化による治療適正化および適応拡大が課題となっている。我々の施設では、以前より多数の症例に対して放射線化学療法(CRT)を用いた膀胱温存療法を施行しており、それらの腫瘍検体を用いた Multi-omics 解析による耐性克服に取り組んできた(Komura K et al, Molecular Cancer 2023)。本研究では、膀胱癌親株、放射線化学療法耐性株を用いて CRISPR ノックアウトスクリーニング、および Multi-Omics 解析を施行し、耐性遺伝子、メカニズム解明による耐性克服および層別化因子同定による適応拡大を目指す。 【【方方法法】】膀胱癌 CRT 耐性株における、RT 併用 CRISPR スクリーニングを施行し、本施設データセットとの包括的解析により耐性遺伝子の同定、および耐性メカニズムの解明を行う。当施設 496 人の膀胱癌腫瘍検体における RNA-seqデータ(K Komura et al, Molecular Cancer 2023)を用いて Cox Hazard Model により CRT 再発と相関のある遺伝子を解析した。膀胱癌親株、耐性株において CRT 併用のリピドーム解析を施行した。Ferroptosis signature は ssGSEAパイプラインにより解析した。 【【結結果果】】データセットから CRT 後の CR 群、Progressor 群の RNA-seq の解析によりフェロトーシス抑制遺伝子の発現プロファイルが異なることが示され、Ferroptosis suppressor signature high のグループは CRT 後の予後が有意に不良であることが示された(下図)。膀胱癌親株、CRT 耐性株の CRT 併用のリピドーム解析により CRT による PUFAの産生機構に違いがあることが示された。RT 併用の CRISPR スクリーニングによりフェロトーシス抑制遺伝子はEssential genes および IR sensitizing genes に複数ヒットすることが解明された。 【【結結論論】】本研究からフェロトーシスが CRT 耐性に関わることが解明され、今後の個別化医療の発展に寄与する可能性が示された。 辻辻野野 拓拓也也 辻野 拓也141フェロトーシス抑制シグネチャーによる CRT 耐性
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