✱50)(5050上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) CUAANRcitpyrcB4GTAT y p e2bT y p e1+2aT y p e2bT y p e1+2a25201510201510201510✱✱✱✱✱✱上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) T y p e2bT y p e1+2aALS 病型別の TDP-43 標的スプライシングパターン 139日日本本人人ににおおけけるる孤孤発発性性 AALLSS 発発症症のの防防御御的的因因子子のの検検索索 日本人における孤発性ALS発症の防御的因子の検索新新潟潟大大学学 脳脳研研究究所所 分分子子神神経経疾疾患患資資源源解解析析学学分分野野 新潟大学 脳研究所 分子神経疾患資源解析学分野【【背背景景】】ALS/FTD 患者の神経細胞では、核蛋白質 TAR DNA-binding protein(TDP-43)が核から消失し、細胞質に凝集する。正常状態の TDP-43 は、RNA 結合蛋白質として、核内で複数の RNA のプロセッシング機構に関わる。とくに重要な機能として、“cryptic exon”とよばれる、イントロン中のエクソンに類似した配列のスプライシング制御がある(Ling, Science 2015)。私達は、ALS/FTD 患者の凍結脳組織から、FACS sorting を利用し、TDP-43 陰性の神経細胞核のみを集積する方法(Liu, Cell Rep 2019)を用いて、TDP-43 が枯渇した神経細胞核で、UNC13A mRNA の異常スプライシングが増加し、cryptic exonの発現が亢進していることを見出した。そしてUNC13A の cryptic exonが ALS/FTD 患者の罹患部位(前頭葉)に特異的に蓄積することを、定量 PCR 法により証明した(Ma, Koike. Nature 2022)。このUNC13A異常スプライシング部位近傍の一塩基多型(SNP)は、白人集団において ALS/FTD の発症リスクとなる。一方で、東アジア人では、このUNC13Aの SNP の保有率自体は高いにもかかわらず、ALS 発症のリスクにはならない可能性が指摘されている。このように、人種差が考慮されるにも関わらず、これまでの TDP-43 標的スプライシングに関する報告は白人集団を主な対象としており、日本人や東アジア人における傾向は解析されていない。 【【目目的的】】私たちは、日本人UNC13Aリスク SNP 保有者の中に、ALS 発症に対して保護的に働く要因を有する集団が存在するのではないか、と仮説を立てた。そして、UNC13Aのリスク SNP に対し、保護的に作用する遺伝学的な要因を探索することを目指す。それにあたり、まず、日本人由来の剖検脳組織を解析することにより、TDP-43 が標的とするスプライングのパターン及びUNC13Aの SNPs と cryptic exon 蓄積の関連を明らかにする。 【【方方法法】】日本人凍結剖検脳由来の運動野組織(ALS、健常コントロール)を用いて検証した。TDP-43 標的スプライシングに関しては、定量 PCR 法により測定した。評価にあたり、ALS 症例は既報(Takeuchi, Acta Neuropathol Commun) をもとに、病理学的に TDP-43 陽性神経細胞質内封入体がほぼ運動系に限局している type 1 と海馬を含む大脳の広い範囲にみられる type 2、さらに type 2 は神経細胞質内封入体に加えて多数の変性神経突起を認める type 2b と、ほとんどみられない type 2a に分類して 3 群、各病理 type 別のスプライシングパターンの傾向について解析した。 【【結結果果】】まず、健常コントロール: 5 例と ALS type 2b: 5 例を比較し、ALS(type 2b)症例では、TDP-43 のスプライシング標的遺伝子であるUNC13A、ATG4B、ACTL6B のスプライシング異常が生じていることを確認した。さらに、症例数を増やし、ALS type 1: 12例、type 2a: 7例、type 2b: 10 例(計 29 例)でスプライシングパターンを解析したところ、type 2b は、他の ALS type(type 1+2a)と比較して、UNC13A、ATG4B、ACTL6Bの異常スプライシングバリアントが有意に蓄積していた(t-test, *<0.05、**<0.01、****<0.0001)(下図)。 【【考考察察】】日本人集団においても、UNC13Aをはじめ TDP-43 標的スプライシングは、TDP-43 病理を反映した結果を示し、疾患バイオマーカーとしての可能性が期待できる。今後は、日本人集団におけるUNC13Aのリスク SNPs とスプライシングパターンの関連を解明し、さらに ALS に対する防御的因子の有無を探っていきたい。 小小池池 佑佑佳佳 小池 佑佳139
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