上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 138ββカカテテニニンンリリンン酸酸化化にに着着目目ししたた慢慢性性腎腎臓臓病病のの病病態態解解明明 βカテニンリン酸化に着目した慢性腎臓病の病態解明東東京京医医科科歯歯科科大大学学 大大学学院院医医歯歯学学総総合合研研究究科科 茨茨城城県県腎腎臓臓疾疾患患地地域域医医療療学学講講座座 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 茨城県腎臓疾患地域医療学講座本研究の目的は、「β-catenin シグナルによる尿細管肥大の制御という新たな視座から、腎機能障害の機序を解明 する事」である。腎臓の機能単位である、ネフロンを構成する尿細管は少なくとも 14 種類あり、その上皮細胞の多様性が腎臓の病態解明を困難とさせている。我々は世界でごく限られた研究者しか持ち合わせていない尿細管単離の技術を有し、最近、代償性腎肥大のメカニズムの検討において、単離した尿細管を用いたマルチオミクス(RNA-seq、ATAC-seq、プロテオミクス)解析から、近位尿細管における代償的肥大に関連する主なシグナルとして、TCF/LEF/β-catenin シグナルの抑制を同定した。(Nat Commun. 2023)β-catenin(CTNNB1)は、細胞接着に直接関与する一方、転写因子 TCF/LEF(T-cell factor/Lymphoid enhancer factor)と複合体を形成する事で転写調節を行うことが知られており、主に細胞の増殖、分化、形態維持に関連する。過去に CTNNB1 と腎線維化、嚢胞形成などとの関連が報告されているが、CTNNB1が腎肥大の病態形成において及ぼす影響は明らかになっていない(Nat Rev Nephrol.2021)。我々は、代償性肥大後の腎臓において CTNNB1 の Ser552 残基のリン酸化が上昇する事を確認した。そこで、本研究では、以下の問いを明らかにすることを目指した。1. Ser552 残基は CTNNB1 の転写活性にどのような影響を与えるか? 2. CTNNB1 Ser552 残基のリン酸化は代償性腎肥大に影響を与えるか? 3. CTNNB1 Ser552 残基のリン酸化は慢性腎臓病(CKD)病態形成に影響を及ぼすか? 結果、我々が米国の NIH で独自に作出した、CTNNB1 の Ser552 残基をAla に置換したノックイン変異(CTNNB1-MUT)マウスを我々の設備に搬入する事が出来、マウス系統を確立することが出来た。また、CTNNB1-MUT マウスを用いて、本ノックイン変異が CTNNB1 の転写活性、細胞回転制御に影響を与える事を、単離尿細管(皮質集合管)を用いた RNA-seq で明らかにし、2024 年の日本腎臓学会でその一端を報告する事に成功した。一方で、海外からのマウスの搬入に多くの時間を要し、腎機能障害への影響の解明は現時点では明確に示すことが出来なかった。 【【発発表表】】 1) 2024 年 6 月 第 67 回 日本腎臓学会学術総会 Vasopressin-mediated beta-catenin phosphorylation and regulation of gene expression in renal collecting duct. 口演 2) Kikuchi H and Yanagi T (Kikuchi H and Yanagi T contributed equally to this work, and either has the right to list himself first in bibliographic documents), Takeuchi K, Susa K, Mori T, Chiga M, Yamamoto K, Furukawa A, Kanazawa T, Kato Y, Takahashi N, Suzuki T, Mori Y, Carter BC, Mori M, Nakano Y, Fujiki T, Hara Y, Suzuki S, Ando F, Mandai S, Honda S, Torii S, Shimizu S, Tanaka H, Fujii Y, Rai T, Uchida S, Sohara E. ULK1-regulated AMP sensing by AMPK and its application for the treatment of chronic kidney disease. Kidney Int. 2024 Nov;106(5):887-906. 138菊菊池池 寛寛昭昭 菊池 寛昭

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