上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 本研究の概要 137発発生生工工学学をを応応用用ししたた MMEENN11 疾疾患患モモデデルルのの確確立立 発生工学を応用したMEN1疾患モデルの確立聖聖ママリリアアンンナナ医医科科大大学学 医医学学部部 代代謝謝・・内内分分泌泌内内科科学学 聖マリアンナ医科大学 医学部 代謝・内分泌内科学【【背背景景】】胚盤胞補完法とは、遺伝子 knockout(KO)により特定の臓器を欠損させた動物胚に正常な多能性幹細胞を 顕微注入しキメラが成立すると、欠損した臓器が多能性幹細胞由来に置換されるというものである。胚盤胞補完法を 応用することで機能的な副甲状腺の構築が可能である(Kano et.al., PNAS, 2023)。多発性内分泌腫瘍症 1 型(MEN1)は全身の内分泌臓器に腺腫や過形成を来たす常染色体顕性遺伝疾患である。腫瘍好発部位は副甲状腺、膵臓、下垂体 であり、腫瘍発症にはMEN1遺伝子両アリルの機能喪失が関与すると考えられている。MEN1 疾患モデルマウス作製にはMen1遺伝子両アリルを KO する必要があるのだが、マウスではMen1ホモ KO は高度奇形を来たし胎生致死に至るため、そのまま疾患モデルとして使用することはできない。副甲状腺を完全に ES 細胞由来の細胞に置き換える ことが可能な胚盤胞補完法を応用すれば、MEN1疾患モデルを効率的に作出できると考え研究を開始した。 【【目目的的】】受精卵ゲノム編集と胚盤胞補完法を応用し、MEN1疾患モデルマウス作製の新規基盤技術を確立する。 【【方方法法】】以下の 3 段階で研究を進める。①受精卵ゲノム編集を用いて MEN1 疾患モデルマウス ES 細胞を樹立する。②副甲状腺欠損マウス体内でMen1 KO マウス ES 細胞由来の副甲状腺を作出する。③Men1 KO マウス ES 細胞由来の副甲状腺を有するキメラマウスの表現型を解析する。 【【結結果果】】マウス前核期胚に、Cas9 蛋白と Men1遺伝子 Exon2 を標的とする sgRNA を導入した後、in vitro培養を 行った。胚盤胞から MEN1 疾患モデルマウス ES 細胞(事前に Pth-P2A-tdTomato を導入して副甲状腺を蛍光標識 済み)を樹立し、そのうち frameshift 変異をもつ株を下流の実験に使用した。受精卵ゲノム編集により作製した副甲状腺欠損マウス胚に、MEN1 疾患モデルマウス ES 細胞を顕微注入しキメラ胚を作製した。仮腹に移植し胚発生を継続 したところ、胎生致死に至らず、キメラマウス新生児(以下 MEN1 キメラマウス)を得た。MEN1 キメラマウスの 副甲状腺は tdTomato 陽性であり、MEN1 疾患モデルマウス ES 細胞由来であることが示唆された。MEN1 キメラ マウスは約生後 10 か月経過後に膵臓、下垂体に腫瘍を認めた。今後は副甲状腺の病理学的評価、カルシウムや副甲状腺ホルモン等の血液生化学検査、single cell RNA-seq を予定している。 【【考考察察】】胚盤胞補完法を応用することで、Men1変異をもつ細胞から成る副甲状腺を有するキメラマウスを得た。本法は、他の胎生致死を来す遺伝性疾患にも応用可能である。 【【発発表表】】 1) Kano M. Parathyroid gland generation from pluripotent stem cells. Endocrinology and Metabolism. 2024 June 39(4):552-558. PMID: 38853617 DOI: https://doi.org/10.3803/EnM.2024.1989 加加納納 麻麻弓弓子子 加納 麻弓子137

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