上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 【【背背景景・・目目的的】】口腔扁平苔癬(OLP)は、口腔粘膜に生じる慢性炎症性疾患であり、CD4+T 細胞がその病態形成に 重要であることが知られている。近年、同じく T 細胞が病態形成に関与するアレルギー疾患や炎症性腸疾患で、腸内 細菌叢の異常(dysbiosis)がその発症に関与するとの報告が相次いでいる。本研究は、OLP の病態と dysbiosis との 関連を解明することを目的とした。 【【方方法法】】1)OLP 33 名と健常者 30 名より採取した糞便を用いて 16S rRNA 解析を行い、両群の腸内細菌叢を比較 解析した。2)OLP 25 名の組織標本を用いて、T 細胞を含む免疫細胞とサイトカインの多重蛍光免疫染色を行い、定量解析を行った。3)OLP 組織から全免疫細胞を抽出し、scRNA-seq による遺伝子発現解析と TCR 多様性解析を行った。4)OLP 14 名と健常者 10 名より血液を採取し、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を単離し、フローサイトメトリーに よる解析を行った。 【【結結果果】】OLP 患者では、健常者と比較して腸内細菌叢の多様性の低下を認め、制御性 T 細胞(Treg)の分化・活性化に重要とされる短鎖脂肪酸産生菌の構成比率が低下していた。OLP 組織では、病変局所に Treg の浸潤を多数認めたが、クローナリティーは低く、機能的マーカーである CD25、CTLA-4 および TGF-βの発現が低下していた。また、短鎖脂肪酸産生菌の少ない患者では、組織に浸潤する Treg の CD25 と CTLA-4 の発現が低かった。さらに、OLP 患者の PBMC では、健常者と比較して Treg の増加を認めたが、CD25+Treg と TGF-β+Treg の割合は低下していた。 【【考考察察】】腸内細菌叢の dysbiosis、特に短鎖脂肪酸産生菌の減少により、循環血液と病変局所において、免疫抑制能の低い Treg が増加し、OLPの病態形成に関与している可能性が示唆された(図)。 【【発発表表】】 1) 2024 年 9 月 歯科基礎医学会、ポスター発表 2) Takahashi K, Yamanaka S. Possible involvement of TLR8-positive monocytes/macrophages in the 136TT 細細胞胞とと ddyyssbbiioossiiss かからら紐紐解解くく口口腔腔扁扁平平苔苔癬癬のの病病態態解解明明 T細胞とdysbiosisから紐解く口腔扁平苔癬の病態解明九九州州大大学学 大大学学院院歯歯学学研研究究院院 口口腔腔顎顎顔顔面面病病態態学学講講座座 顎顎顔顔面面腫腫瘍瘍制制御御学学分分野野 九州大学 大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野pathogenesis of Sjögren's syndrome. Front Immunol. 2024 DOI: 10.3389/fimmu.2024.1480675 図 腸内の dysbiosis が Treg の機能不全を引き起こし、慢性炎症へと発展し口腔扁平苔癬を発症する 136金金子子 直直樹樹 金子 直樹

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