上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 130白白血血病病治治療療耐耐性性にに関関わわるる RRNNAA--蛋蛋白白質質高高次次構構造造体体のの解解析析 白血病治療耐性に関わるRNA-蛋白質高次構造体の解析東東京京大大学学 大大学学院院新新領領域域創創成成科科学学研研究究科科 メメデディィカカルル情情報報生生命命専専攻攻 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 先進分子腫瘍学分野患に生命を脅かされている。特に再発・治療抵抗性の白血病(relapsed or refractory leukemia)は予後不良であることが知られている。再発・治療抵抗性白血病は、どのようにして化学療法に対する抵抗性を獲得しているのだろうか。 新しい治療法を確立するためには、そのメカニズムを明らかにすることが重要である。細胞内で形成される一部の高次構造体は、外的ストレスによって形成されることが知られている。これらの高次構造体は蛋白質や核酸など多分子の 相分離によって形成されるポリマーであり、RNA-蛋白質相互作用(RNA-Protein Interaction:RPI)がその形成に 重要な役割を担っている。本研究では、薬剤ストレスによって誘導される RPI や RNA-蛋白質複合体に着目し治療耐性機序を解明することを目的とした。 【【方方法法】】白血病細胞株 MDSL2007 にデシタビン(Decitabine:DAC)を投与し、形成される RNA-蛋白質複合体を Acid Guanidinium Phenol Chloroform による RNA 抽出法を応用した抽出手法「OOPS」を用いて網羅的に回収した。回収された蛋白質を LC-MS/MS を用いて解析し、DAC 投与下で形成される高次構造体を構成する RNA 結合蛋白質を 同定した。薬剤耐性に寄与する遺伝子を同定するため、RBP を標的とした CRISPR/Cas9 sgRNA サブライブラリーを設計し、ノックアウトスクリーニングを行った。また、薬剤ストレスによって誘導される RPI のダイナミクスを評価するため、CRISPR/Cas13 と NanoBiT を組み合わせた新たな解析手法「NanoBiT-dCas13」を確立した。 【【結結果果】】薬剤ストレスを加えた MDSL2007 では、定常状態に比してより多くの RNA-蛋白質複合体が形成されていることが明らかになった(図)。Enrich された蛋白質の中にはスプライシング因子を含む様々な RBP が含まれていた。Cas9 を用いたノックアウトスクリーニングでは、ストレス顆粒の形成に関わる遺伝子が DAC 抵抗性に関与していた。NanoBiT-dCas13 を用いた解析では、薬剤ストレスを加えることで短期間のうちに細胞内に形成される RPI の変化が発光シグナルとして検出可能であり、RPI に介入する様々な薬剤のスクリーニングに有用であることが示された。 【【考考察察】】DAC による薬剤ストレスにより、細胞内で形成される RNA-蛋白質複合体を同定した。薬剤ストレスにより相分離が誘導される蛋白質の中には、既知の DAC 耐性因子なども含まれていた。細胞が薬剤ストレスに抗する メカニズムとして、RPI や相分離が重要な働きを担っている可能性が示唆された。今後、OOPS 法で同定された遺伝子に対して個別にノックアウト実験を行い、新しい治療標的の同定を行っていく予定である。 DAC による薬剤刺激で MDSL2007 細胞内に形成された RNA-蛋白質複合体 130山山本本 圭圭太太 山本 圭太【【目目的的】】白血病は、化学療法の発展に伴い治療成績が大きく向上した病気の一つではあるが、未だ多くの患者がこの疾

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