上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 本研究の多糖解析システムの概要と真菌細胞壁の多糖構造変化の解析 129機機能能改改変変酵酵素素をを用用いいたた抗抗真真菌菌薬薬探探索索基基盤盤のの構構築築 機能改変酵素を用いた抗真菌薬探索基盤の構築東東京京薬薬科科大大学学 薬薬学学部部 免免疫疫学学教教室室 東京薬科大学 薬学部 免疫学教室【【背背景景とと目目的的】】真菌(酵母・カビ)の細胞壁はキチン、β-グルカン、マンナン等の多糖類が複雑に絡み合って構成 される。一部の真菌は動植物に感染するが、多糖の構成比・構造の僅かな違いが病原性に大きく影響することが次々と明らかにされている。そこで、本研究では病原性真菌の細胞壁多糖が、生息環境・形態変化や薬剤暴露によって再構築される過程で生じる多糖構造の変化を短時間で網羅的に解析する手法を構築するため、これまで独自に開発してきた 多糖結合タンパク質(機能改変型糖質加水分解酵素)を蛍光プローブ化し、FACS を用いた多糖解析システムの構築と薬剤探索基盤としての概念実証を目的とする。 【【方方法法】】機能改変した糖質加水分解酵素を各種蛍光タンパク質と融合発現させ、多糖結合能を評価した。各多糖 プローブを実際に真菌と混合し、菌体の蛍光レベルの変化を解析した。さらに、既知の多糖合成阻害剤で処理した カンジダ菌の細胞壁を解析し、多糖の組成変化が解析可能か評価した。 【【結結果果】】キチン結合タンパク質としての Chitinase 変異体(Chit1-Mu)、β-1,3-グルカン結合タンパク質および β-1,6-グルカン結合タンパク質としてのβ-1,3-glucanase 変異体(13BGase-Mu)、β-1,6-glucanase 変異体(16BGase-Mu)、αマンナン結合タンパク質としての Mannosidase 変異体(12AMase-Mu)に GFP、mCherry(FACS の際はPE で標識)、BFP などの蛍光タンパク質を融合発現させ、発現に成功した変異体の多糖結合能を評価した。その結果、多くは結合能を保持していたが、12AMase-Mu の多糖結合能は大幅に減弱したため、本改変体には NHS Ester を用いて Alexa Fluor 647(AF647)を標識した。蛍光プローブ化した各酵素改変体を酵母粒子と混合して FACS で解析したところ、各多糖に由来する蛍光が確認され、簡便な多糖構造解析法が構築された。また病原性真菌であるカンジダ菌をβ-1,6-グルカン合成阻害剤存在下で培養し、同様に各酵素改変体で染色して FACS で解析した結果、未処理群では 4 種類の多糖構造に由来する蛍光が認められたが、薬剤処理群ではβ-1,6-グルカンに由来する蛍光が大幅に減少した。 【【考考察察】】大腸菌で作製可能な多糖結合タンパク質を蛍光プローブ化することで、極めて安価な真菌細胞壁多糖構造解析法が構築された。蛍光分子の種類を選択することで、FACS によるマルチカラー解析も可能となったため、新規抗真菌薬の探索や候補化合物の作用機序解明の促進が期待される。 【【発発表表】】 1) 2024 年 8 月 第 36 回微生物シンポジウム、口頭発表(招待) 2) 2024 年 11 月 The 8th Congress of Asia-Pacific Society for Medical Mycology (APSMM)、ポスター発表 3) 2024 年 11 月 第 68 回日本医真菌学会総会・学術集会、口頭発表(招待) 4) 2024 年 12 月 第 206 回 酵母細胞研究会例会、口頭発表(招待) 5) 2024 年 12 月 2024 年度日本細菌学会関東支部インターラボセミナー、口頭発表 6) 2025 年 3 月 日本農芸化学会 2025 年度大会、口頭発表(招待) 7) 2025 年 3 月 日本薬学会第 145 年会、口頭発表 山山中中 大大輔輔 山中 大輔129
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