上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) パキニモド治療がアトピー性皮膚炎の脳内炎症を改善 124アアトトピピーー性性皮皮膚膚炎炎にに伴伴うう脳脳内内炎炎症症のの成成因因解解明明とと治治療療開開発発 アトピー性皮膚炎に伴う脳内炎症の成因解明と治療開発順順天天堂堂大大学学 大大学学院院医医学学研研究究科科 アアトトピピーー疾疾患患研研究究セセンンタターー 順天堂大学 大学院医学研究科 アトピー疾患研究センターの研究では、アトピー性皮膚炎患者が認知機能障害や脳内炎症を発症するリスクが高いことが報告されているが、その詳細なメカニズムは解明されていない。本研究では、全身性炎症がどのように脳内炎症や血液脳関門(BBB)機能障害を引き起こすのかに注目し、特に S100A8/A9 という分子が重要な役割を果たす可能性について考える。 【【目目的的】】本研究の目的は、アトピー性皮膚炎による慢性炎症が血液脳関門を破壊し、脳内炎症と認知機能障害を 引き起こすメカニズムを明らかにすることである。また、S100A8/A9 の阻害剤であるパキニモドの治療効果を検証し、S100A8/A9 が治療標的として有用かどうかを評価することを目指す。 【【方方法法】】本研究では、まず 2,4-ジニトロクロロベンゼンを用いてアトピー性皮膚炎モデルマウスを作製した。これらのマウスに Y 迷路試験、オープンフィールド試験を実施して認知機能を評価した。また、IVISense Vascular NP 750 を使用して血液脳関門の透過性を測定した。さらに、in vitro実験において S100A8/A9 が脳血管内皮細胞に与える影響を解析し、タイトジャンクション関連遺伝子の発現を調べた。最後に、S100A8/A9 阻害剤であるパキニモドを投与し、その治療効果を評価した。 【【結結果果】】DNCB 誘導アトピー性皮膚炎モデルマウスでは、持続的な皮膚炎が海馬のミクログリア活性化を誘発し、 血液脳関門の破壊と認知機能の低下が確認された。in vitro実験では、S100A8/A9 がタイトジャンクション関連遺伝子の発現を抑制し、血管内皮細胞のバリア機能を低下させることが明らかになった。さらに、パキニモド投与により血液脳関門の機能が回復し、海馬の炎症遺伝子発現が正常化し、認知機能も改善した。 【【考考察察】】今回の研究は、S100A8/A9 がアトピー性皮膚炎に関連した脳内炎症と血液脳関門機能障害の中心的な役割を担っていることを示した。特に、S100A8/A9 阻害剤であるパキニモドが有効であることから、今後の治療戦略としてこの分子を標的とすることが有望であると考えられる。また、他の神経炎症や神経変性疾患における S100A8/A9 の 役割についてもさらなる研究が必要である。 124彭彭 戈戈 彭 戈【【背背景景】】アトピー性皮膚炎は慢性の炎症性皮膚疾患であり、皮膚バリア機能の障害と免疫系の異常が特徴である。最近

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