上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) ペタシンによる転移関連接着分子経路の阻害 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 123新新規規ミミトトココンンドドリリアア阻阻害害剤剤にによよるる癌癌転転移移抑抑制制機機構構のの解解明明 新規ミトコンドリア阻害剤による癌転移抑制機構の解明岐岐阜阜大大学学 連連合合創創薬薬医医療療情情報報研研究究科科 創創薬薬科科学学専専攻攻 岐阜大学 連合創薬医療情報研究科 創薬科学専攻【【研研究究のの背背景景】】がん細胞は、しばしば発生部位から別の臓器に転移する。転移を阻害する治療戦略は未だ開発されておらず、効果的な新しいがん転移阻害法の研究が必要とされている。近年、がんの特徴的なミトコンドリア関連代謝が転移に重要な役割を果たしていることが指摘されている。これまでに、米国を中心に阻害薬の研究開発が進められてきたが、既存の阻害剤は抗がん活性が極めて弱いか、副作用が極めて強く、十分な治療効果と安全性を両立する阻害剤が存在しなかった。平島らは、従来の阻害剤の 1700 倍以上の強い活性をもつ新しいミトコンドリア代謝阻害物質として日本原産植物のフキノトウからペタシンを発見した。ペタシンは、強力な転移抑制効果を示すにもかかわらず、副作用が低いというユニークな特徴を持つため、これまでに知られていない全く新しい効率的な転移抑制機構をもつと考えられる。そのため、そのメカニズムの解明は、独自性が高く治療効果が高い治療法の開発に繋がる可能性が高い。 【【目目的的】】プロテオーム・メタボローム解析により網羅的に転移抑制に重要な代謝酵素群を同定し、代謝の観点からペタシンの転移阻害メカニズムを明らかにする。 【【方方法法】】オミクス解析、細胞生物学、実験病理学的手法を組み合わせ、ペタシンによる転移阻害メカニズムの中心的な代謝経路・酵素の同定を試みた。 【【結結果果】】プロテオーム解析・メタボローム解析の結果を統合解析し、ペタシンの作用機序に関わると考えられる細胞接着関連分子と代謝酵素をそれぞれ選抜した。候補分子を CRISPR-Cas9 システムを用いてノックアウトしたところ、ペタシンによる接着阻害効果が減弱した。マウス自然転移モデルにおいて当該分子の発現を調べたところ、転移組織において発現異常が認められた。 【【考考察察】】本研究で同定した分子は、ペタシンによる転移阻害効果に深く関与していると考えられる。今後、さらに機能評価と解析を進める予定である。 平平島島 一一輝輝 平島 一輝123
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