上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
138/224

1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 110AACCPP にによよるる核核酸酸 TTLLRR 応応答答制制御御機機構構のの解解明明 ACPによる核酸TLR応答制御機構の解明東東京京大大学学 医医科科学学研研究究所所 感感染染遺遺伝伝学学分分野野 東京大学 医科学研究所 感染遺伝学分野制御が必要である。我々はノックアウトライブラリースクリーニングを用いて、炎症応答を抑制する因子として酸性 フォスファターゼ ACP2 を同定した。フォスファターゼは多くの生物的機能に重要であると言え、その中でも ACP2と ACP5 は基質特異性が低く、リソソームの酸性条件下で働く。ACP2 欠損細胞ではリソソーム膨潤が生じる。ACP5は破骨細胞のマーカーであり、その欠損変異は骨格形成異常になり、同時に自己免疫疾患の症状を呈する疾患であるSPENCDI を引き起こす。本研究では、Acp2・Acp5 二重欠損による病態と TLR 応答の異常な上昇との因果関係を 解明することを目的とする。 【【方方法法】】Acp2・Acp5 二重欠損マウスでは、骨格異常や肝脾腫が顕著になり、人の病態に近いモデルマウスとなって いる。自己炎症疾患様の症状を引き起こす原因を同定するために、核酸認識 TLR 欠損マウスと掛け合わせた。また、炎症状態を理解するために、肝臓や脾臓などの臓器で増加しているのかフローサイトメトリーや病理的解析を行った。脾臓や肝臓において細胞が増殖していることから、炎症応答だけでなく様々なシグナルが活性化されている可能性が 考えられた。増殖がみられる免疫細胞の RNAseq を行い、マウス間における遺伝子発現の差異を検証した。また、Gene Set Enrichment Analysis などにより網羅的シグナル解析を行った。 【【結結果果】】核酸特異的 TLR の機能に必須のシャペロンである Unc93B1 を欠損させると肝脾腫は消失した。そこで、Unc93B1 が 制 御 す る 核 酸 認 識 TLR ( TLR3 、 TLR7 、 TLR9 、 TLR13 ) の 関 与 を 検 証 し た と こ ろ 、 Acp2-/-Acp5-/-Tlr7-/-Tlr9-/-で肝脾腫の表現型の消失が確認された。Acp2-/-Acp5-/-マウスはヒトと同じく骨が短くなるが、Acp2-/-Acp5-/-Tlr7-/-Tlr9-/-では有意に回復した。我々は、核酸トランスポーターやヌクレアーゼが欠損 するとリソソームに核酸が蓄積し、TLR が炎症反応とは違い、細胞増殖・生存の応答を誘導することを報告した。 そこで、Acp2-/-Acp5-/-マウスにおいて蓄積したマクロファージでどのようなシグナルが活性化されているかを特定するために RNAseq 解析を行った。その結果、TLR7/9 依存的な増殖シグナルの活性化が認められた。Acp2-/-Acp5-/- マウスにおいて TLR7、9 の活性化が確認されたため、リガンドである RNA や DNA 量を検証した。しかし、 これまでのマウスと異なり、リソソーム内で顕著なリガンドの蓄積は認められなかった。 【【発発表表】】 1) 2024 年 1 月 日本免疫学会、ポスター発表、口頭発表 2) SSaattoo RR et al. RNaseT2 deficiency promotes TLR13-dependent replenishment of tissue-protective Kupffer cells. JJEEMM.. 2025; 222(3):e20230647. 図:Acp2・Acp5 二重欠損マウスは TLR 依存的に増殖シグナルを促進する 現在の所属:千葉大学 未来粘膜ワクチン研究開発シナジー拠点 現在の所属:千葉大学 未来粘膜ワクチン研究開発シナジー拠点110佐佐藤藤 亮亮太太 佐藤 亮太【【背背景景及及びび目目的的】】自然免疫系では、Toll 様受容体(TLR)をはじめとする病原体センサーが、転写因子 NF-κB などを活性化して、感染防御反応を誘導する。しかし、過剰な活性化は自己炎症や自己免疫疾患様を呈することから、厳密な

元のページ  ../index.html#138

このブックを見る