上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 102新新規規ががんん化化機機軸軸をを標標的的ににししたた抗抗 pp5533 欠欠損損型型腫腫瘍瘍戦戦略略 新規がん化機軸を標的にした抗p53欠損型腫瘍戦略長長崎崎大大学学 大大学学院院医医歯歯薬薬学学総総合合研研究究科科 分分子子硬硬組組織織生生物物学学 長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 分子硬組織生物学【背背景景おおよよびび目目的的】p53 遺伝子と Myc 遺伝子は最も重要な「がん関連遺伝子」であり、p53 の機能不全と Myc の活性化異常は、ヒトがんに広く関与する。これまで、抗腫瘍戦略として p53 の賦活化や Myc の阻害が試みられてきたが、その副作用の大きさから未だ奏功していない。そこで我々は、p53 や Myc を直接ターゲットにするのではなく、p53 の不活性化後に起こる、最も重要で根本的なイベントを阻害することで、p53 欠損造腫瘍能に抗う創薬を考えてきた。我々は骨肉腫の解析から、腫瘍細胞で顕著に高発現を認める転写因子 Runx3 による Myc の過剰発現誘導が、p53 欠損腫瘍発症・進展の根源的な腫瘍化イベントであること(Oncogene 41, 683-691, 2022)、さらにこの過程で C/ebpαも、Runx3を直接阻害することで Myc の過剰発現を抑え腫瘍化を抑制すること(Oncogene 42, 2485-2494, 2023)を見出し報告した。つまり Runx3 は、p53 欠損型腫瘍発症において、Myc 過剰発現へと導く「橋渡し転写因子」であり、種々の 「がん抑制遺伝子」がターゲットにしている「要のがん遺伝子」であると考えられる。そこで本研究では、AA.発症 した p53 欠損型骨肉腫に対し、Runx3 の特異的阻害はどれくらい有効、かつ安全か。BB.Runx3 をターゲットにした創薬は可能か。この 2 つの課題を検討した。RUNX3 は近年、p53 欠損型膵がん転移をはじめ(Cell 161; 1345-1360, 2015)、卵巣がんや頭頚部がんなど他のヒトがんにおいても悪性化促進因子として知られるようになった(Nat.Rev.Cancer 15; 81-95, 2015)。したがって、本研究成果は骨肉腫のみならず、広く p53 不活型ヒトがんへの応用も期待できる。 【方方法法おおよよびび結結果果】本研究では、前項の AA と BB の 2 つの課題についての解析・検討を並行して実施した。 AA..当初の計画で用いる予定であった p53-/-; Rosa-CreERt; Runx3 fl/fl マウスでは個体数を増やすことができなかった ため、新たにOsx-FLP; p53 frt/frtマウスで骨肉腫発症モデルを構築し、そこにUbc-CreERt; Runx3 fl/flを搭載することで、Tam 誘導式に Runx3 を全身欠損させ、Runx3 の抗骨肉腫効果と、Runx3 欠損毒性を確認することとした。 すなわち、FRT-FLP 系で p53 遺伝子を前骨芽細胞特異的にノックアウトして骨肉腫を発症させ、発症した時点で Tamを投与することで、全身性に Runx3 をノックアウトして、Runx3 欠損による抗腫瘍効果と副作用を観察できる系を 考案した(図 1)。現在、すべての遺伝子改変マウスラインの導入を完了し、目的のマウスを作出している最中である。 BB..海洋微生物ライブラリーを用いて抗 p53 欠損腫瘍化合物(RUNX3特異的阻害剤)のスクリーニングを行い、目的の活性を有する海洋微生物由来抽出物の精製作業を行った。p53 正常間葉系幹細胞様細胞(ST2)に影響せず、p53 欠損型 ST2(ST2Δp53)、p53 欠損骨肉腫細胞(OSΔp53)、p53 欠損ヒト骨肉腫細胞(hOS cells)の増殖を阻害し、かつ p53 欠損 Runx3 欠損間葉系ストローマ細胞(MSCΔp53ΔRx3)には影響しないフラクションの選別を行った。現在、海産放線菌由来の抽出液(K1G5 および K1C11)において、そのような活性を示すフラクションを見出した (図 2 の K1G5 および K1C11)。 Runx3 欠失による抗腫瘍効果および副作用の検討と海洋微生物ライブラリーによる Runx3 特異的抗腫瘍効果 102大大谷谷 昇昇平平 大谷 昇平

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