上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 99制制御御性性単単球球のの分分化化おおよよびび免免疫疫抑抑制制機機構構のの解解明明 制御性単球の分化および免疫抑制機構の解明東東京京薬薬科科大大学学 生生命命科科学学部部 免免疫疫制制御御学学研研究究室室 東京薬科大学 生命科学部 免疫制御学研究室【【背背景景・・目目的的】】我々は、マウスにおける新規単球亜集団「制御性単球(Ym1+Ly6C+)」を同定し、これが DSS 誘導 腸炎の炎症収束や組織修復に寄与することを報告した(Ikeda et al. 2018, Sci. Immunol.)。この制御性単球は、炎症期ではなく回復期に骨髄で誘導され、従来型単球とは異なる発現プロファイルを示す。我々は制御生単球が、顆粒球単球前駆細胞(GMP)から、好中球前駆細胞(proNeu1)、新規前駆細胞(GMP-MoP)を経由して分化することを明らかにし、加えて、この経路は G-CSF により誘導されることを明らかにした(Ikeda et al. 2023, Cell Rep.)。さらにヒトにおいても、CXCR1+CD14+単球を同定し、T 細胞抑制機能や G-CSF 誘導性から、マウス制御性単球との相同性を 示した(Ikeda et al. 2023, Cell Rep.)。本研究では、上記の研究を発展させることで、「制御性単球の分化および免疫 抑制機構の解明」を目的とし、以下の 3 つの課題に取り組んだ。 【【方方法法・・結結果果】】 11..制制御御性性単単球球のの分分化化機機構構のの解解析析 制御性単球が定常時には存在せず、DSS 腸炎修復期に誘導されることから、組織傷害により生じた何らかの因子により誘導されることが示唆される。我々は DSS 腸炎により誘導されるサイトカインを標的とした in vivo スクリーニングアッセイを実施した。その結果、すでに分化誘導因子として同定した G-CSF の他に、新たに 4 つの 分化誘導因子を同定した。加えて我々は、分化誘導因子解析のために、これまでに、IRF8・C/EBPβ・GFI1 などの 転写因子が制御性単球の分化に関与することを報告した(Ikeda et al. 2023, Cell Rep.)。本研究では、proNeu1からGMP-MoP への分化において発現上昇する候補転写因子を RNA-seq で抽出した。GMP における候補因子発現を、 レンチウイルスを用いて発現制御すると、転写因子 A、B、C を過剰発現させた際に、制御性単球分化が亢進することを見出した。さらに、転写因子 A については遺伝子欠損マウスを作製し、LPS 投与による制御性単球誘導モデルを 用いて解析すると、制御性単球の割合が減少することを明らかにした。 22..炎炎症症性性腸腸疾疾患患ににおおけけるる制制御御性性単単球球のの機機能能解解析析 DSS 誘導腸炎モデルを用い、制御性単球特異的に蛍光標識可能な Ym1-Cre TdTomato マウスにより、大腸組織に 浸潤する制御性単球およびそれに由来するマクロファージの機能を解析した。DSS 腸炎誘導 10 日後の大腸制御性単球由来マクロファージのトランスクリプトームの変化を RNA-seq で解析すると、組織修復関連遺伝子が高発現することを見出した。 33..ヒヒトト制制御御性性単単球球のの TT 細細胞胞抑抑制制機機構構のの解解析析 ヒト CXCR1+CD14+制御性単球が T 細胞死を誘導する機構として、細胞間接着と過酸化水素依存性の細胞死誘導を見出している。本研究では、ヒト制御性単球に対する抗体を作製し、T 細胞との共培養アッセイに添加することで、T細胞抑制に関わる制御性単球の細胞表面分子を解析した。その結果、4 クローンで T 細胞死誘導が増加し、1 クローンで T 細胞死が減少した。さらに、T 細胞死を誘導した 4 クローンの標的抗原を質量分析により明らかにし、制御性単球による T 細胞死誘導機能を増強する分子の同定に成功した。 池池田田 直直輝輝 池田 直輝99

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