上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 従来法と本研究の仮説 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 93光光触触媒媒にによよるるララジジカカルルカカッッププリリンンググ型型アアミミノノ酸酸合合成成 光触媒によるラジカルカップリング型アミノ酸合成北北海海道道大大学学 大大学学院院薬薬学学研研究究院院 精精密密合合成成化化学学研研究究室室 北海道大学 大学院薬学研究院 精密合成化学研究室【【研研究究のの背背景景目目的的】】これまでに有機合成化学では、様々な分子触媒を利用して非天然型アミノ酸が合成されてきた。 しかし、多くの合成手法は適切な原料の事前調整とそれに伴う脱保護が必要であるため、これらの合成に要する時間・ コストの削減が求められている。一方で CO2は地球上に豊富に存在する炭素資源であり、最も単純なアミノ酸合成 原料のひとつとして魅力的である。本研究では CO2に対する反応相手として入手容易なアルキルアミンを利用し、 ラジカルカップリング反応を開発することで、単工程での無保護アミノ酸合成に取り組んだ。 【【方方法法】】光触媒により CO2からラジカルアニオンを、HAT 触媒によるアルキルアミンの水素引き抜きによりアミノ ラジカルをそれぞれ発生させ、ラジカル同士のカップリングによるアミノ酸への変換を試みた。まず、①Ir(ppy)3 に より 1 気圧の CO2からラジカルアニオンが発生することを、アルケンによるラジカル補足実験で確認した。次に②HAT触媒(キヌクリジン)から生じるラジカルが 3-amino-1-phenylbutane(アルキルアミン)のα位の水素引き抜きに よりアミノラジカルを発生することを、アミンの酸化反応により確認した。最後に①②の応条件を 1 つにまとめることで、ラジカルカップリングを試みた。 【【結結果果】】鍵中間体のラジカルの発生は、それぞれ①②の実験で確認できた。しかし、両反応条件を組み合わせた条件 [CO2+Ir(ppy)3+キヌクリジン+3-amino-1-phenylbutane]からラジカルカップリング反応の進行は1H-NMR および質量分析で確認できず、原料を回収するのみであった。アルキルアミンのα位の水素引き抜きを行うキヌクリジンの代替として、アジ化ナトリウム、アルキルチオールも検討したが目的生成物は観察できなかった。 【【考考察察】】CO2のラジカルアニオン、アミノラジカルともに求核的なラジカル種であるため、ラジカルカップリングが速度論的に困難であったと考えられる。CO2の加圧も考慮したが、特殊な反応容器であるため助成期間内の入手が困難であった。現在は生じたアミノラジカルを一旦遷移金属触媒で捕捉し、アミノアルキル金属種に CO2を挿入させる アプローチを検討している。 中中村村 顕顕斗斗 中村 顕斗93

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