上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 図 本研究で明らかになった LA の生合成経路 91ププロロテテアアソソーームム阻阻害害剤剤のの酵酵素素をを用用いいたた効効率率的的合合成成 プロテアソーム阻害剤の酵素を用いた効率的合成北北海海道道大大学学 大大学学院院工工学学研研究究院院 応応用用化化学学部部門門 応応用用生生物物化化学学研研究究室室 北海道大学 大学院工学研究院 応用化学部門 応用生物化学研究室【【背背景景・・目目的的】】ラクタシスチン(LA)は大村らによって 1991 年にStreptomyces lactacystinicus の培養液から Neuro 2a 細胞に対する神経突起伸長誘導剤として単離された化合物である。その後、LA がプロテアソームの特異的阻害活性を示すことや、N−アセチルシステイン(Ac−Cys)部の自発的脱離で生成する omuralide(OL)が活性本体として 20Sプロテアソームと不可逆的に共有結合する阻害メカニズムが示されている。その活性の強さと特異性の高さからプロ テアソーム関連の研究用試薬として世界中で広く使用されているが、LA や OL は高価であり、安価な供給が望まれている。また、他のプロテアソーム阻害剤である bortezomib は抗ガン剤として上市されており新規プロテアソーム阻害剤の発見・創生は創薬にも繋がる可能性がある。そこで、LA の生合成研究を行い、その仕組みを利用することで LAや OL の安価な供給や類縁体創出を試みることとした。このような背景のもと、まずLA 生合成の全容解明を目指した。 【【結結果果・・考考察察】】LA の化学構造からその生合成にはポリケタイド合成酵素(PKS)と非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)の関与が推定されたため、LA 生産菌S. lactacystinicusのドラフトゲノム配列に両酵素の遺伝子を含む領域を探索したところ、PKS と NRPS を含む lct クラスターを見出した。続いて、この領域が LA の生合成に関与する ことを示すために、lct クラスターを異種発現ホストに導入したところ、LA の生産が観測できた。これより、lct クラスターが LA の生合成を担うことがわかった。さらに、クラスター中の組換え酵素を用いて in vitro での解析を 行ったところ、以下に述べる LA 生合成を明らかにした。まず、新規ホルミル基転移酵素である LctF が CoA を直接 ホルミル化し、生成したホルミル CoA からホルミル基が PKS へと結合する。さらに、PKS による鎖伸長によって メチルマロニルセミアルデヒド体(11)が合成される。他方、NRPSはβ−OH−Leu ではなく Leu を認識し自身に結合させ、11 と NRPS に結合した Leu(もしくはβ−OH−Leu)が縮合することで中間体 22 を生成する。最後に、22 が環化酵素 LctC により環化され対応する環化産物が生成し、自発的な Ac−Cys の付加により LA が生成する。 本研究より、水酸化のタイミングを除く LA 生合成の全てのステップを明らかにし、特に、天然物における新たな ホルミル CoA 生合成と PKS において、ホルミル CoA を開始基質とする初の例を示した。 【【発発表表】】 1) Tsunoda T, Furumura S, Yamazaki H, Maruyama C, Hamano Y, Ogasawara Y, Dairi T. Biosynthesis of lactacystin as a proteasome inhibitor. Commun Chem. 22002255 Jan 13;8(1):9. PMID: 39806036 DOI: 10.1038/s42004-025-01406-4. 2) 2024 年 10 月 3rd Japanese-German Symposium on the Biosynthesis of Natural Products 口頭発表 3) 2024 年 7 月 The Chemistry and Biology of Natural Products Symposium ⅩⅦ 口頭発表 4) 2024 年 6 月 1st Japan-Korea Actinomycetes Symposium 口頭発表 角角田田 毅毅 角田 毅 など他数件 91

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