上原記念生命科学財団_研究報告集vol39_デジタルブック用
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上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 本研究と既報のクローン性造血の保持割合 85高高齢齢者者ににおおけけるる血血液液細細胞胞のの体体細細胞胞変変異異のの意意義義のの解解明明 高齢者における血液細胞の体細胞変異の意義の解明理理化化学学研研究究所所 生生命命医医科科学学研研究究セセンンタターー 基基盤盤技技術術開開発発研研究究チチーームム 理化学研究所 生命医科学研究センター 基盤技術開発研究チーム【【背背景景・・目目的的】】さまざまな正常組織において、加齢に伴い遺伝要因と環境要因が複雑に相互作用して体細胞変異が生じ、陽性選択が進行することで、恒常性の制御が逸脱し、細胞のクローン性拡大が生じる現象が知られるようになっている。クローン性造血は、物理的な制約を受けない血液細胞において、クローン拡大が生じたユニークな現象であり、大規模な解析が可能な対象でもある。本研究では、クローンの陽性選択が特に強く進行していると考えられる集団を対象に、加齢や疾患との関連を評価することを目的として、クローン性造血を大規模に解析する。 【【方方法法】】既存のシークエンスデータに加え、高齢者を対象として、クローン性造血に関連するDNMT3A、TET2、ASXL1 などを含む遺伝子に対してターゲットシークエンスを実施し、配列情報を取得する。得られたデータは、確立された パイプラインを用いてフィルタリングを行い、変異を同定する。同定されたクローン性造血の情報を基に、変異の特徴や保持者の臨床的特徴を明らかにする。 【【結結果果・・考考察察】】得られたシークエンスデータのカバレッジは十分であった。過去に海外で行われた全エクソームシークエンスを用いた解析結果と、今回解析したデータにおける主な 5 遺伝子の保持割合を示す(図)。頻度の多い遺伝子に関しては既報と類似していたが、高カバレッジのシークエンスデータを用い、高齢者を対象としたことで、より多くの保持者を同定することができた。クローンの陽性選択を解析した結果、臨床的特徴によって変異の選択率に違いがあることが明らかになった。さらに、疾患との関連を評価したところ、造血器疾患以外の疾患との関連も認められた。本研究で同定された保持者の情報を活用し、今後もクローン拡大と遺伝要因・環境要因の関係について評価を継続し、加齢や疾患との関連をさらに明らかにしていく予定である。 【【発発表表】】 1) 2024 年 11 月 American Society of Human Genetics 2024 Annual Meeting ポスター発表 2) 2025 年 9 月 第 84 回日本癌学会学術総会 口頭発表 碓碓井井 喜喜明明 碓井 喜明85

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