1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 【【背背景景】】パーキンソン病(PD)の運動症状発現前の診断に資する血液バイオマーカーはない。そのため本研究では 「運動症状発現後に変化するバイオマーカー群」の中から「前駆期バイオマーカー」を同定すべく、前駆期の特徴的 症状であるレム睡眠時行動障害(iRBD)患者データを用いて解明する。 【【目目的的】】iRBD 患者の臨床検査および血清を用いて、PD 発症前診断のバイオマーカーを開発すること。 【【方方法法】】iRBD 患者 35 名の臨床検査データを取得し、合わせて血液サンプルから血清を用いて下記の生体内代謝産物を測定する。まず、iRBD 診断を、ポリソムノグラフィー(PSG)を用いて行うと共に、MIBG 心筋シンチグラフィーによる心臓交感神経の脱落、ドパミントランスポーターイメージング(DAT イメージング)によるドパミン神経の 脱落を併せて評価し、iRBD 患者における「水面下での神経変性進行」を正確に評価する。次に、これら RBD 患者 から採取した抗パーキンソン病薬非内服時点での血清における下記代謝産物濃度を、質量分析計を用いて計測する。 1) カフェイン、その下流代謝産物(10種): 【【結結果果】】本研究には 35 名の iRBD 患者、24 名の PD-RBD 患者をリクルートした。全症例で、PSG を実施し、SINBAR基準に基づいて確定診断を行った。MIBG 心筋シンチグラフィーでは、早期心臓/縦隔比が平均 1.65(標準偏差 0.16)、後期心臓縦隔比が平均 1.46(標準偏差 0.15)と明瞭な低下を認めた。これらは PD-RBD 患者の早期平均 1.59 (標準偏差 0.21)、後期平均 1.32(標準偏差 0.20)とほぼ同等であり、既に iRBD 発症時には胸髄レベルでの交感神経脱落が始まっていることを示していた。また、iRBD 患者の中で 12 名に DAT イメージングを実施したところ、 11 症例にて同年代の正常下限程度まで specific binding ratio(SBR)が低下しているものの、PD-RBD に比し、 低下の度合いは少なかった。これらは、中脳下部の青斑下核が変性を来し、iRBD を発症する時期には、既に中脳上部の黒質ドパミン神経細胞の軽度の変性も進んでいることを示している。以上を踏まえ、iRBD 患者が PD の前駆状態にあることを核医学的に改めて確認した。この MIBG 心筋シンチグラフィー検査の結果は、海外を含めて報告が無く、新知見と言える。現在、血液サンプルの回収を終え、【【方方法法】】で述べたカフェイン・カフェインの下流代謝産物、 ポリアミン代謝産物の血清濃度測定を進めている。 【【考考察察】】iRBD は PD の前駆疾患と考えられている。我々は、放射線検査・生理学的検査にて iRBD が既に末梢交感 神経脱落を呈すること、中脳の機能障害も水面下で進んでいることを捉えた。当初の目的通り、これらの変化を反映 する血液バイオマーカーの特定を進める。 【【発発表表】】 1) 2025 年 5 月 21 日 第 66 回日本神経学会学術大会(大阪)にて発表予定 80パパーーキキンンソソンン病病のの発発症症前前診診断断ババイイオオママーーカカーー開開発発研研究究 パーキンソン病の発症前診断バイオマーカー開発研究筑筑波波大大学学 医医学学医医療療系系 神神経経内内科科学学分分野野 筑波大学 医学医療系 神経内科学分野PD 患者では血清カフェイン・その下流代謝産物濃度が低下する(NNeeuurroollooggyy 90:e404, 2018)。これらを iRBD 患者血清の濃度を測定する。方法は既報に従う(MMoovv DDiissoorrdd 35:1438, 2020)。 2) ポリアミン代謝産物(8 種): 前駆期バイオマーカー候補として PD 重症度と有意に相関する N1,8-diacetyl-spermidine(DiAcSPD)、運動症状発症早期から低下する spermine/spermidine(SPM/SPD)比などを測定する。方法は既報(AAnnnn NNeeuurrooll 86:251, 2019)に従う。 80斉斉木木 臣臣二二 斉木 臣二
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