上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 79大大規規模模オオルルガガネネララ分分解解現現象象のの分分子子機機構構のの研研究究 大規模オルガネラ分解現象の分子機構の研究九九州州大大学学 大大学学院院医医学学研研究究院院 生生体体機機能能学学分分野野 九州大学 大学院医学研究院 生体機能学分野真核生物の細胞内にはミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体などの様々なオルガネラ(細胞小器官)が備わっているが、水晶体細胞、赤血球、角化細胞の 3 種類の細胞の最終分化の過程では、それらのオルガネラはすべて数時間で分解され消失する。この「全オルガネラ分解現象」は古くから知られていたが、その分子機構や意義は長らく不明であった。 本候補者は水晶体をモデルとして約 12 年間にわたり本課題に取り組んだ結果、水晶体の全オルガネラ分解は、 通常の細胞でオルガネラ分解を担うオートファジーではなく、サイトゾルに存在する PLAAT ホスホリパーゼによる こと、その作用は水晶体の透明化に必須であることを見出した(森下*[*共同責任著者] et al. Nature 2021)。本研究により、オートファジーによらないオルガネラ分解システムの存在が世界で初めて明らかになった。PLAAT は様々な臓器に発現しているため、本機構は普遍的なメカニズムであると考えられる。しかし、その詳細な過程や制御機構についてはほとんど解明されていない。そこで本研究では、ゼブラフィッシュをモデルとして、水晶体のオルガネラ分解機構の長時間での超解像ライブイメージング解析法を開発することとした。具体的には、褪色しにくく非常に明るい mStay-Gold を蛍光タンパク質として採用し、超解像共焦点レーザー顕微鏡を用いて詳細な時空間解析を行った。その結果、詳細なオルガネラ分解過程が明らかとなり、特に一部のオルガネラに関して従来知られていなかった様式でオルガネラが分解されていく過程をとらえることに初めて成功した。さらに本ライブイメージング解析手法を基盤とした分子メカニズムの解析法の開発にも成功し、いくつかの新規制御因子の同定にも成功している。これらの成果は新規オルガネラ分解機構の分子機構および意義に関して新たな学術的知見を提供するものである。 【【発発表表】】 1) 2024 年 11 月 第 4 回 日本オートファジーコンソーシアムシンポジウム、招待講演 2) 2024 年 8 月 18th International Zebrafish Conference、招待講演 森森下下 英英晃晃 森下 英晃79
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