1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 78感感染染症症をを重重症症化化ささせせるる特特異異的的なな炎炎症症誘誘導導機機序序のの解解明明 感染症を重症化させる特異的な炎症誘導機序の解明旭旭川川医医科科大大学学 医医学学部部 感感染染症症学学講講座座 微微生生物物学学分分野野 旭川医科大学 医学部 感染症学講座 微生物学分野に、本研究では細菌感染で誘導される炎症応答と病態形成の関連性を調査した。 【【目目的的】】病原細菌が感染すると宿主細胞は異物として認識し、自然免疫であるインフラマソーム応答を活性化する。 本研究では、世界的に多剤耐性化が問題視されているアシネトバクターがインフラマソームを活性化する分子機序と その感染病態への影響を解明することを目的とした。 【【方方法法】】アシネトバクターをマウスの骨髄細胞から分化したマクロファージに感染させた。インフラマソーム応答の 指標として、培養上清中の IL-1β濃度を ELISA で測定し、細胞膜の傷害を評価するために培養上清中の LDH を測定した。また、カスパーゼの活性化はウエスタンブロット法で活性型タンパク質を検出することで評価した。さらに、 個体レベルでの感染病態を調べるために、アシネトバクターに感染したマウスの臓器内菌数をカウントし、血清中の サイトカイン濃度を測定した。 【【結結果果】】アシネトバクターをマクロファージに感染させると、細胞内 LPS センサーであるカスパーゼ 11 依存的に 細胞死が誘導された。また、細胞膜傷害依存的に二次的な IL-1β産生が検出された。一方で、新たな LPS センサー として報告された NR4a1 の関与も検討したが、野生型マクロファージとの有意な差は認められなかった。興味深い ことに、カスパーゼ 11 欠損マウスにアシネトバクターを感染させたところ、野生型マウスと比較して臓器内菌数が 減少し、マウスの生存率が改善した。カスパーゼ 11 は Gsdmd を活性化することで細胞膜に孔を形成することから、近年新たな Gsdmd 阻害剤として報告されたジスルフィラムをマウスに前投与したところ、アシネトバクターの 臓器内菌数が低下し感染病態が改善した。 【【考考察察】】これまでに細胞内 LPS 受容体としてカスパーゼ 11 と NR4a1 が報告されているが、アシネトバクターの LPSはカスパーゼ 11 依存的に Gsdmd を活性化し、細胞膜を傷害していることが判明した。これによって二次的に NLRP3を介してインフラマソームが活性化し、IL-1βがマクロファージから分泌される。この一連の炎症応答がアシネト バクターの感染病態に与える影響を検討したところ、カスパーゼ 11 の活性化がアシネトバクターの臓器内菌数を増加させ感染病態を悪化させていることが明らかとなった。一方で、IL-1βを欠損してもアシネトバクターの臓器内菌数は低下しなかったことから、IL-1β非依存的な炎症応答が感染病態を形成していると考えられる。IL-1βとは異なる 炎症誘導因子を特定し阻害剤を開発することで、国際的に多剤耐性化が懸念されているアシネトバクターに対する 革新的な治療法が確立できると期待される。 【【謝謝辞辞】】以上のような研究の進展に大いなる援助をいただいた公益財団法人上原記念生命科学財団に心より感謝 申し上げます。 【【発発表表】】 1) 2024 年 11 月 日本生化学学会、口頭発表 2) 2024 年 12 月 日本免疫学会、ポスター発表 78原原 英英樹樹 原 英樹【【背背景景】】薬剤耐性菌のサイレント・パンデミックが深刻化しており、2050 年には薬剤耐性菌による死者数が悪性腫瘍の死者数を追い越すと試算されている。薬剤耐性菌に対する有効な治療法は確立されておらず、抗生物質やファージ 療法のような微生物自身に直接作用する治療法は新たな耐性株の出現を誘発することが懸念されている。そのため、 既存法とは作用点の異なる新規感染治療法の立案が危急の課題となっている。そこで、新たな治療標的を探索するため
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