1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) 76生生理理条条件件ででののナナイイトトレレンン発発生生法法のの開開発発ととそそのの応応用用 生理条件でのナイトレン発生法の開発とその応用千千葉葉大大学学 大大学学院院薬薬学学研研究究院院 薬薬品品合合成成化化学学研研究究室室 千葉大学 大学院薬学研究院 薬品合成化学研究室残された課題も多く存在するものの、低分子をその対象としたときには、ある程度高度な分子変換が可能である。しかし、ペプチドやタンパク質などの生体高分子を化学変換の対象としたとき、現代有機合成化学は未成熟である。すなわち、「どういった分子活性種が中性水中で安定に発生かつ使用可能であり、どのアミノ酸残基を化学選択的かつ高効率に反応させうるか」についての知見が充分でない。本研究では、ヒドロキサム酸の特異な反応性を基盤に、生理条件(=中性・水中)でナイトレンを発生させ、その反応性を調査し、タンパク質中のメチオニン残基選択的化学修飾法へと展開することを目的とした。 【【方方法法】】これまでの研究で、ヒドロキサム酸が生理条件下で優れた求核触媒となり、スルホニルフルオリドと速やかに反応し、O–スルホニル化体を与えることが分かっていた。そこで、ヒドロキサム酸の構造を改変することで、O–スルホニル化の進行ののちに溶媒である水がカルボニル基を攻撃し、C–N 結合の切断と続くα脱離によって N–aryl ナイトレンを生じると仮説を立てた。 【【結結果果】】ヒドロキサム酸の構造およびスルホニルフルオリドの構造を検討することで、たしかに生理条件でN–aryl ナイトレンを生じさせることに成功した。しかし、生じたナイトレンは非常に不安定であり、メチオニンとの分子間の反応を起こすよりも先に自身の aryl 部位に窒素原子を挿入して環拡大転位を起こすことが明らかとなった。そこで、メチオニンとの分子間反応を優先的に起こすよう戦略とヒドロキサム酸の構造を変更することとした。 α脱離によるナイトレンの発生に必要な窒素原子上のアニオンを、中性緩衝液中での脱プロトン化によって発生させる戦略を検討した。すなわち、窒素上の置換基を aryl 基からカルバメート基に替えることで、脱プロトン化に必要な比較的酸性度の高いプロトンを窒素上に持たせるとともに、先に問題となった不安定なN–aryl ナイトレンを回避することとした。検討の結果、図 1 に示す化合物 11 は中性条件で自発的にナイトレンを生じ、メチオニンと反応することでスルフィルイミンを生じることを見出した。本反応はメチオニンを含むペプチドやタンパク質を基質にしたときにも進行し、メチオニンのスルフィルイミン化体を与えた。今後、反応効率の向上および生成物の安定性の向上を行い、新たなタンパク質化学修飾法として展開していきたい。 【【発発表表】】 1) 2024 年 9 月 第 18 回バイオ関連化学シンポジウム学会、ポスター発表 図 1.生理条件下におけるナイトレンの発生とメチオニンのスルフィルイミン化 76山山次次 健健三三 山次 健三【【目目的的】】有機合成化学は主に、有機溶媒中で望みの分子を合成・化学変換することを目的に大きな発展を遂げてきた。
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