1カルボニルストレスに着目した精神疾患発症機序の解明〇〇大学 〇〇科新井 誠上原記念生命科学財団研究報告集, 39 (2025) 上原記念生命科学財団研究報告集, 39(2025) MCS による免疫細胞の貪食機能増強 72肝肝脳脳時時計計をを刺刺激激すするる µµ 電電流流にによよるる認認知知症症のの診診断断予予防防治治療療 肝脳時計を刺激するµ電流による認知症の診断予防治療九九州州大大学学 大大学学院院薬薬学学研研究究院院 薬薬物物動動態態学学分分野野 九州大学 大学院薬学研究院 薬物動態学分野βアミロイドタンパク質に対する抗体薬が市販されているが、治療費が高額であることから本邦の医療費の増加は 避けられない状況にある。また認知症の治療満足度が低い原因は、認知の仕組みが未だ不明な点や診断技術に乏しい ことに起因している。様々な脳領域の機能、また各種神経系細胞の機能が、基礎研究により明らかになってきているが、我々は認知症の病態と末梢臓器の時計遺伝子の機能に着目した早期診断・治療法開発を目指している。 【【方方法法】】マウスを対象に経皮を介してマイクロ電流刺激処置(MCS)を行い、時計遺伝子や免疫機能に関わる分子等の 発現や機能を解析した。カルテ情報などのリアルワールドデータ(RWD)を対象にコンピュータで解析し、認知症の発症リスクとその要因について解析した。 【【結結果果】】まずはじめに、マウスを対象に MCS を行い、肝臓の遺伝子発現量を次世代シーケンス法(NGS)により測定 した。その結果、非 MCS 群と比較して、MCS 群で免疫機能に関わるシグナルが変容していることが明らかとなった。そこで、培養した免疫細胞に MCS した結果、異物の貪食能が増強することが明らかとなった。この免疫細胞の貪食 機能の増加の機構を明らかにするために、MCS 後の遺伝子発現量を NGS により測定した結果、体内時計機構に関連するシグナルが変容することを明らかとした。さらに詳細に解析した結果、MCS による免疫細胞の Per1 遺伝子の 低下が、KLF4 を介した貪食機能の活性化を引き起こす事を明らかにした。 【【考考察察】】本研究では、MCS が末梢の免疫細胞の貪食能を増強することを明らかにした。未だ治療満足度の低い認知症やパーキンソン病など、アミロイドタンパク質の沈着による神経変性疾患の病態は、中枢に限定した病態でなく末梢から中枢へ移行するアミロイド分子の存在が臨床で指摘されている。よって、MCS による末梢の免疫機能の活性化は、 末梢で作られたアミロイドタンパク質などの分子を貪食し、認知機能の改善に影響を及ぼす可能性がある。また、認知症のみならず MCS は、本邦では 2 人に 1 人が一度は罹患するとされる様々ながん細胞の貪食を促進し、抗がん作用を示すことも明らかにした。今後も加齢が引き起こす認知症やがんなどの様々な疾患について、体内時計機構の側面よりMCS 研究や RWD 解析を進め、新たな疾患の予防や治療法の開発を行っていきたい。 【【発発表表】】 1) Yoshida Y, Tanihara T, Hamasaki K, Tsurusaki F, Fukuda T, Adachi S, Terada Y, Otsuki K, Nishikawa N, Fukuoka K, Tsukamoto R, Hamamura K, Oyama K, Tsuruta A, Mayanagi K, Koyanagi S, Ohdo S, Matsunaga N. Targeting macrophage circadian rhythms with microcurrent stimulation to activate cancer immunity through phagocytic defense. Theranostics 2025 Jan 1;15(2):340-361. doi: 10.7150/thno.100748. 2) 科学新聞 2024 年 12 月 6 日 1 面 3) Youtube:【画期的?】電気で刺激した結果「がん」が・・・最新研究が示す「微弱電流(マイクロカレント)」による新たな癌治療法の可能性 72松松永永 直直哉哉 松永 直哉【【研研究究背背景景とと目目的的】】近年の高齢化社会、65 歳以上の高齢者が認知症になる確率は「50%」という状況であり、世界的に問題視されている。その一方で、未だに治療満足度が極めて低い疾患である。最近では、認知症の原因の一つである
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